本編 > 第1章 > 引きこもり、不登校、もう一人で悩まない(文化学習協同ネットワーク)
NPO法人 文化学習協同ネットワーク
東京都三鷹地域の親たちが中心となって資金を出し合い、フリースクールを建設。
不登校や引きこもりの青少年の教育、自立支援活動を行っている。公開講座を行うことを通じて地域社会とも連携している。
〇不登校や引きこもりの青少年のためのフリースペースを運営している。
〇利用者の親たちも運営や経営に参加している。
1970年代に校内暴力や授業についていけないなどの子どもの問題が社会問題となる中で、74年に地域の親たちが建設資金を拠出し、地域の学生が学習塾を設立した。
この学習塾を母体として、90年代に入り、不登校の問題が大きくなる中、93年に地域で不登校の子どもを持つ親たちが不登校の子どもや青年の自立を支援することを目的として文化学習協同ネットワークを設立し、不登校の子どもたちの居場所として、フリースペースコスモと不登校親の会がつくられた。
その後、97年に不登校の子どもたちを抱える親たちが中心となって、広く資金を募り、建設費をすべて準備して、活動のための専用の場所を確保した。
99年、文化学習協同ネットワークはNPO法人格を取得した。
(基礎資料)
不登校や引きこもりの子どもや青年に対する教育プログラムを提供したり、学びと自立のための特別講座を実施している。プログラムへの参加は子どもたちの自由意志に任されている。年間延べ40〜50名が利用している。
○「フリースペースコスモ」
義務教育年齢の不登校の子どもたちの居場所を提供している。子どもたちが話し合って内容を決定する遊び、スポーツ、自然体験などのほか、教科学習の支援も行っている。
○「コスモゼミナール」
10代後半〜20代前半の不登校経験者、高校、大学中退者、引きこもりの青年を対象に、教科学習のサポート、英会話、数学、歴史講座の各種講座、自然体験学習、農業や福祉、保育の分野での労働体験、ホームヘルパー養成講座などを行っている。
現在は、青年の自立支援のため、働ける場として地域でパン屋(コミュニティ・ベーカリー「風のすみか」)を起業する準備を進めている。
地域に対する公開プログラムとして、三鷹・武蔵野地域の教育をテーマとした講習会、学習会などを開催し、地域住民の生涯学習の場として提供されている。その一つである「子ども土曜セミナー」は、社会福祉・医療事業団(現 独立行政法人福祉医療機構)から助成を受けており、企画段階から地域住民も参加している。
実際に活動を行う有給のスタッフは20代が多く、活動開始時より近隣大学の学生からの募集が中心。不登校の子どもや引きこもりの青年の自立支援活動というテーマに関心のある学生が多く、比較的容易にスタッフを集めることはできるが、賃金は10万円台。
それ以外に無給のボランティア延べ20名(常時5名程)が働いている。
活動開始時以来、国や地方公共団体からの資金助成は受けておらず、フリースペースの運営費の約9割は利用者負担金で賄っている。負担金については、利用者の親たちと話し合い決めている。
会費収入として、現在約350名の会員から年間5,000円の会費を得ている。
利用者の親たちの信頼を得るため、運営や経営に参加してもらうようにしている。現在、親たち全体の三分の一程度が参加している。
地域NPO同士でイベントを共催したり、三鷹市周辺で地域の子育て・まちづくり活動を行っている団体と意見交換をしている。また、東京農工大学との間で農業体験や食農教育の分野で協力しているほか、三鷹市立第四小学校とは、保護者を中心とした学習会を共催するなど、学校とも協働している。
活動を知ってもらうため、市の広報誌を通じて活動内容を広告している。また、親同士の口コミや個人的につながりのある学校職員により文化学習協同ネットワークの活動が紹介されている。
引きこもりや不登校の問題は家族を孤立した状態に追いつめかねないが、そうした状況にある家庭の受け皿を地域において準備していることに大きな意味がある。