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第2章 デフレ下で厳しさを増す若年雇用 

コラム 大学院を修了しても・・・

大学を卒業して、大学院へ進学する学生は年々増加しており、1992年の3万人から2002年はほぼ倍の6万人が大学院へ進学している。これは、卒業生の約10人に1人が大学院へ進学していることを意味している。東京大学の工学部・理学部の卒業生に至っては8割程度の学生が大学院に進んでいる状況である。このように進学者が大幅に増加しているため、修士(マスター)や博士(ドクター)の学位を取得しても、大学に残って研究できる人は限られており、学内のポスト不足で常勤の研究職に就けないオーバーマスターやオーバードクターといわれる状況の人が増えている。

そこで、若手研究者の流動性を高めるとともに、研究者の視野を広げ、資質・能力を高めることができるよう、96年7月に第1期科学技術基本計画において「ポストドクター等1万人支援計画」が策定された。このポストドクターとは、ポスト・ドクトラル・フェローの略で、博士の学位取得後、特定の組織に就職するのではなく、いわばフリーの研究者として、ある組織と短期の専属契約を結び、研究活動を行うような働き方を指す。この計画に基づき、政府全体として1万人規模の若手研究者を支援する体制を整備し、99年度には計画が達成された。しかし、ポストドクターはあくまでも短期の有期契約であるため、その後の受け皿が必要となっている。日本は、アメリカのようにポストドクターからテニュア・トラック(任期制のポスト)、テニュア(終身ポスト)へ上がっていく制度が確立されていない。また、ポストドクターが増加しても、受け皿となる大学や研究所の助手のようなアカデミックな職の数がむしろ減少傾向にあるため、ポストドクターについての需要と供給のバランスが崩れている。2001年4月には第2期科学技術基本計画が策定され、ポストドクター制度の質的充実を図ることとされた。現在、優秀なポストドクターの支援事業や研究職の任期制度の拡充など、将来有望な若手研究者の自立を促すような支援策のさらなる充実を図っている。


 

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