[目次]

第2章 デフレ下で厳しさを増す若年雇用 

コラム 就職内定率ってなんだろう

学生の就職状況を把握する際の主要な指標として「就職内定率(以下内定率)」が一般的に使用されている。「内定率」とは「就職希望者のうち、企業から内定を得た者(内定者)の比率」である。この数字が高ければ高いほど、就職を希望する学生のうち、より多くの学生が、勤め先を見つけることができたということを意味しており、望ましいと考えられる。
 厚生労働省によると、2002年3月の高校卒業者の内定率は89.7%(2002年3月末現在)と、就職難といわれながらも比較的良い数字にみえるが、この数字は、就職を希望した高校生のうちの約9割が就職できたということなのだろうか。
 ここで「内定率」の算出方法について詳しくみてみよう。「内定率」を算出する際の分母に該当する「就職希望者数」とは、「内定者数」と「就職を希望する未内定者数」の和である。この「就職を希望する未内定者数」には、途中で就職をあきらめ、就職活動をやめてしまった学生は含まれない。例えば10月時点では、就職を希望していた高校生が、就職先が決まらず、12月には大学への進学希望に変更した場合を考えてみよう。この学生は10月の就職内定率の調査時には、分母の未内定者数に含まれるものの、12月の就職内定率の調査時には、分母から除かれることになる。つまり、卒業時点の「内定率」とは、卒業時点まで継続して就職を希望する学生のうちの内定者の割合であり、途中で就職をあきらめてしまった学生は「内定率」の数字では把握できない(注7)
 現在のように就職環境が厳しい状況でも、「内定率」が大幅に低下していない背景には、内定が得られず、途中で就職をあきらめたり、進路変更する人が増えていることが1つの要因であると考えられる。例えば、景気がよかった1991年度には、90年7月末時点で就職したいと思っていた高校生のうち、就職をあきらめた人はわずかであった。しかし2001年度には、2000年7月末に就職したいと思っていた高校生のうち、少なくとも4人に1人は就職をあきらめたり、進路を変更している。
 日本労働研究機構「進路決定をめぐる高校生の意識と行動」(2000年)によると、2000年3月卒業予定者のうち、就職活動はしたものの1月時点で内定が得られていない学生(就職活動実施者の26.6%)に今後の進路について調査したところ、「正社員としての就職を探す」と回答した学生の割合が48.7%で最も高く、約半数の学生が引き続き就職活動をしている。一方、「パート・アルバイト(注8)になる」と回答した学生の割合が37.2%と次いで高く、1月時点で正社員としての就職をあきらめている学生も多い。

 

図 就職内定が遅くなると就職をあきらめる人が増加(求職者の月次推移)

図 就職内定が遅くなると就職をあきらめる人が増加(求職者の月次推移)


(注7)求職者には、逆に進学をあきらめたことなどの理由で新たに求職活動を始めた人も含まれる。
(注8)調査票のフリーターに該当する。同調査のフリーターとは、「進学でも就職でもなくアルバイトやパートなどで生活すること」とされている。


 

テキスト形式のファイルはこちら


[目次]

前の項目に戻る     次の項目に進む