これは平成7年度国民生活選好度調査の要旨をとりまとめたものであり、引用等については直接本報告によられたい。
昭和47年度に開始し、今回で16回目。3年毎の国民の生活に関する満足度等の調査(時系列調査)と、その時々の特定のテーマに関する調査があり、今回は特定テーマの年にあたる。
戦後半世紀を経て、我が国は世界有数の経済力を持つにいたり、国民の生活水準は大きく向上した。しかし、その一方で、多くの国民が、経済面では成功したとしても、生活面では成功しただろうかという、漠然とした不満を抱いているように思われる。
そこで、本年度の国民生活選好度調査は、我が国の国民生活上の諸問題および今後の日本経済の動向との関連を分析する判断材料とするため、勤労、家庭、社会の3つの生活分野における国民の意識について調査を行った。
(1)生活満足度
(2)勤労観について
(3)家庭観について
(4)社会観・人生観について
(5)消費意識について
(1)母 集 団 全国に居住する20歳以上60歳未満の男女
(2)標 本 数 4,400人
(3)抽出方法 層化2段無作為抽出法
平成7年6月8日〜6月21日
調査員による個別訪問留置法
社団法人 新情報センター
(1)有効回収数(率) 3,392人(77.1%)
(2)調査不能数(率) 1,008人(22.9%)
本章では、国民の生活満足度や「幸せ」の要因、人生の将来見通しについて考察し、その特徴を明らかにする。また、現在の生活満足度と将来見通しの関係についても分析する。
生活全般についての満足度は上昇
生活全般に満足(「満足している」+「どちらかといえば満足している」)と答えた者の割合は59.4%と、国民の約6割が現在の生活に満足している(問1)。1978年度以降の生活満足度についての調査結果と比較すると、84年度の64.2%に次いで高い割合となっている。
男性よりも女性の満足度が高い
男女別に比較すると、生活全般に満足と答えた者の割合は、男性56.2%、女性62.2%と女性の方が6%高くなっており、男性より女性の生活満足度が高い。さらに、年齢別にみても、各年代とも女性の満足度が男性を上回っている(第1−2図)。
男性よりも女性の生活満足度が高いという傾向は、78年度以降、変わっていない。
こうした男女別生活満足度の差は、どのような要因から生じたのだろうか。男女別生活満足度を比較してみると、主婦(パートタイム従業者を含む。以下同じ。)の満足度は、各年代とも女性全体の生活満足度より高く、女性の満足度の高さは、主として主婦の満足度の高さによるものだということがわかる。
世帯全体の年収が高まるほど満足度は上昇
本人の年間収入別にみると、200万円以上の者については、年収が増加するほど生活満足度は上昇する傾向にある(第1−3図)。200万円未満の者については、逆の傾向を示しているが、この階層には、主婦などが含まれており、収入と生活満足度との関係をみるには、世帯全体の年間収入をみる方が適切だと考えられる。そこで、世帯全体の年間収入別にみると、世帯全体の年収が増加するほど、生活満足度の割合が上昇している。
自分の健康と家庭生活の基本的項目を重視している
人々が「幸せ」と感じるのに関係のある17の項目について回答を求めた(問2)。
それをみると、重要だと思う(「重要だと思う」+「どちらかといえば重要だと思う」)と答えた者の割合は、「自分の健康に自信がもてること(98.6%)」、「家庭が明るいこと(98.5%)」、「子供が健全に育っていること(97.4%)」、「夫婦仲が円満であること(97.1%)」の基本的項目で高くなっている。多くの国民は、健康と家庭生活などの基本的項目を「幸せ」の要因として重視しているという結果となっている。
不満足と答えた者は、満足と答えた者よりも収入・消費生活の分野を重視している
満足と答えた者、不満足と答えた者の両者について、「幸せ」の要因にはどのような違いがあるのだろうか。この両者について「重要だと思う」と答えた者の割合を比較すると、満足と答えた者は、不満足と答えた者よりも「子供が健全に育っていること」「自分の健康に自信が持てること」「家庭が明るいこと」「夫婦仲が円満であること」をより重視しており、自分の健康や家庭生活といった基本的な項目を重視している(第1−7図)。
その他の項目についてみると、不満足と答えた者の割合が満足と答えた者よりも上回っている。特に、「世間的にみて一応の収入があること」「ぜいたくと思えるような買物もたまにはできること」「趣味を楽しむ経済的ゆとりや時間があること」の項目で「重要だと思う」と答える者の差が大きくなっており、不満足と答えた者は、満足と答えた者よりも、収入・消費生活の分野を重視しているという特徴があることがわかる。
子ども時代について「しっかり勉強しておけばよかった」と答える者が多い
子ども時代にしておけばよかったことについて尋ねたところ(問3)、全体では「しっかり勉強しておけばよかった(62.7%)」、「たくさん友人をつくればよかった(29.9%)」、「人を気にすることなく自由に過ごせばよかった(21.3%)」等の順となった。大学卒の者のみについて年齢別の特徴をみると、「しっかり勉強しておけばよかった」では20代が最も低く、「たくさん遊んでおけばよかった」「人を気にすることなく自由に過ごせばよかった」では、年代が低くなるほどその割合が高まる(第1−10図)。
こうした結果は、近年の受験競争の激しさを反映したものとも考えられる。
国民の半数以上はこれからの人生に明るい見通しを持っている
これからの人生の見通しについて尋ねたところ(問4)、明るい見通し(「明るい見通しを持っている」+「どちらかと言えば、明るい見通しを持っている」)と答えた者の割合は54.9%、暗い見通し(「どちらかと言えば、暗い見通しを持っている」+「暗い見通しを持っている」)と答えた者の割合は11.4%となった。「どちらともいえない」と答えた者の割合は33.6%であった。
本人年収別、世帯全体の年収別にみると、年収が増加するほど明るい見通しと答えた者の割合が上昇している(第1−12図)。
現在の生活に満足している者の多くが人生の将来に明るい見通しを持っている
生活満足度と人生の将来見通しとの関係をみると、現在の生活に満足と答えた者の72.5%が明るい見通しと答えている。つまり、現在の生活に満足している者の多くが、これからの人生にも明るい見通しを持っているということになる。
子供を持つことは、現在の生活の不満を高めるが、人生の将来見通しを明るくする
30歳以上の既婚者について、子供の有無、子供の年齢別の満足度、将来見通しとの関係をみると、子供がいる者は、子供がいない者と比べて、すべての年齢層で満足度が低くなっているのに対し、人生の将来見通しについては、子供がいる者の方が一般に高くなっている(第1−15図)。
以上から、子供を持つことは現在の生活にとっては負担となり、不満を高める要因となるが、人生の将来見通しを明るくする要因であることになる。
日本的雇用慣行が変化する中で、労働者の仕事や会社に対する意識にも変化がみられるといわれている。本章では年齢や収入など労働者の特性や労働条件をとりあげ、仕事を巡る意識との関係を分析する。
6割の人は現在の仕事に満足
現在の仕事に対する満足度を聞いたところ(問10)、満足している人が62.1%、不満である人が34.7%と、6割以上の人が現在の仕事に満足しているとの結果を得た。
これを、労働者の年齢、収入、労働時間など別にみると、おおむね年齢、収入、学歴が高くなるほど、また企業規模が大きくなるほど満足度が高まり、労働時間が長くなるほど満足度が低下する傾向にある(第2−1図)。
大企業で収入が低いと仕事に対する満足度は低下する
第2−1図は満足度と労働者の特性の関係をみたものであるが、これは個々の特性と満足度との独立した関係をみたものではない。例えば、日本的雇用慣行の下では年齢とともに賃金が上昇するので、収入が満足度を上昇させているにもかかわらず、年齢が満足度を上昇させているかのような結果を得ることもある。
したがってある特性の満足度に与える要因を探るには、ほかの特性の影響を除く必要がある。
そこで、企業規模と満足度との関係を収入階級別にみると、収入が高位の層(800万円以上)、低位の層(400万円未満)では同じ収入であれば企業規模が大きくなるほど満足度が低くなる傾向がある(第2−3図)。一方、収入が中位の層(年収400〜800万円未満)では企業規模が大きいと満足度が高くなる傾向がある。
収入が高い女性の仕事に対する満足度は高い
大企業において、年収が400万円未満の労働者は満足度が低いという結果が得られたが、大企業で年収の低い労働者の構成をみると女性が多くを占めている。そこで、女性のみについて企業規模と仕事への満足度との関係を収入階級別にみると、年収400万円以上の階級では大企業においても満足度は高い(第2−4図)。
したがって男女にかかわらず、収入とそれに見合う仕事内容が仕事への満足度を上昇させるものと考えられる。
5割の人は仕事を通じて人との交流を求めている
働くことの意味や目的を聞いたところ(問8)、全体としては「仕事を通じ多くの人々と知り合える」(50.3%)が最も多く、「働くことにより人間的に成長できる」(39.8%)「規則正しい健康な生活が維持できる」(34.2%)などがこれに続いている。
全体的に強い能力志向、高収入層は保守的傾向
仕事に対する取り組み方を聞いてみたところ(問9)、「会社はもっと個人の能力差を重視して給料や昇進を決めるべきだ」とした人が76.5%に達するなど、全体的に能力志向は強い。
次に、この考え方に賛同した人の割合を収入別にみると、高収入層ほど低下しており、高収入層は現状の給料や昇進に満足しており、これ以上、能力主義を導入することに消極的である(第2−8図)。
これを男女別に見ると、女性については年収800万円以上の収入階級のサンプル数が少ないために断言できないが、高収入層も能力が給料や昇進に反映されることに賛同している。
転職の理由は消極的なものが多い
これまでに「転職したことがある」かと聞いたところ(問11)、41.2%の人々が「転職したことがある」と回答している。次に、転職の最大の理由を聞いたところ、「自分に向かない仕事だったから」「自分の結婚や家族の都合から」「人員整理や倒産、事業所移転のため」などの消極的理由、あるいはやむを得ない事情によるものが多く、「知識や技能を生かしたかった」「独立したため」などの積極的理由によるものはごく少数だった。
女性の短大・大学進学率が男性を上回り、職場進出が進んで、男性職種とされていた分野で働く女性も増加している。
このような女性の社会進出に伴い、男女とも「夫は仕事、妻は家庭を守る」といった役割分担意識が少しずつ薄れてきている。しかしながら、このような意識の変化の方向は男女同じではなく、夫婦の間には意識のミスマッチが生まれている。
本章では、家庭生活に関わる意識や行動を分析する。
少数派になった「妻は夫をたててつくしている」亭主関白型
「どのような家庭が望ましいか」を尋ねると(問12)、「妻は夫をたててつくしている」家庭を理想と考えている人は男性10.3%、女性7.9%で少なくなっている。
このような 変化は高等教育が普及し男女平等主義が広まったこと、女性の稼得能力が少しずつ上がってきたことなどによると考えられる。
高学歴夫婦のミスマッチ
結婚に際しては、男女とも同じ学歴の配偶者を選ぶ傾向が強いことから(厚生省「人口動態社会経済面調査報告」91年度)、同じ学歴の男女の意識の差は夫婦の意識の差となる傾向があると考えられる。そこで学歴別に求める家庭像をみると、亭主関白型は男女共に学歴が高いと減少する傾向がある(第3−2図)。
男性は「夫は仕事、妻は家庭を守る」分業型が短大までは減少するものの、大学以上になると再び増加する。「それぞれ熱心にうちこんでいる」自立型は学歴ではほとんど差がみられない。「夫は家庭に気を使い、妻は家庭に専心」するマイホーム型は短大まで増加し、大学以上で減少する。一方、女性は学歴が高くなると分業型が減り、自立型が増える。また、マイホーム型は男性同様短大まで増加し、大学以上で減少するので、男女で求める家庭像の傾向は一致しているとみてよい。
したがって、求める家庭像で最も大きな差があるのは、「分業型」、「自立型」の男女である。特に、大学以上の場合の「分業型」の男性は22.0%であるのに対し、女性は7.6 %であって14.4%もの開きがある。
以上のように、大学以上同士の夫婦では求める家庭像が夫は分業型、妻は自立型であるというミスマッチが起きていると考えられる。
夫婦のミスマッチをもたらす夫の収入
学歴が高いと亭主関白意識が薄れるにも関わらず、大学以上の男性では分業型が増える。この理由を探るため、本人の稼得能力と求める家庭像の関係をみてみよう。
男性は800万円を堺にして分業型が大きく増えている(第3−3図)。一方、女性は自分の収入が多くなると、「夫は家庭に気を使い妻は家庭に専心」するマイホーム型が減少し、自立型が多くなる傾向がある。
収入が上昇すると男性は自分だけで家計を支えようと考えるようになり、女性は自立志向が強くなるといえる。
ダグラス−有沢の法則
既にみたように、男性の求める家庭像は収入が増加するに従い分業型が増えてくる。これは「世帯主は家計を支えるために働くが、世帯主の収入が低ければ、その他の家族も収入を確保するために働きに出なくてはならない」というダグラス−有沢の法則とよばれる経験法則と一致している。以下、この法則についてみていこう。
夫の収入が上がると低下する妻の有業率
まず、上記の経験法則が一般的にあてはまるかどうかをみてみよう。妻の有業率をフルタイム(勤め人に限る)とパートタイムに分けてみると、夫の収入が増えるにつれ、フルタイム有業率は大きく低下している(第3−4図)。
一方、パートタイム有業率は夫の収入が600万円までは上昇するが、それ以上では緩やかに低下している。
このように、フルタイムとパートタイムで程度の差はあるものの、全体的に経験法則が成り立っているといえる。
パートタイムとフルタイムで差がみられる妻の行動
フルタイムとパートタイムの差について、より詳しくみてみよう。
フルタイム有業率を末子の年齢別にみると、子供のいない人が最も高く、子供が小さくなるにつれて低下しているものの、どの層も傾向として夫の収入が上昇すると有業率は低下する(第3−9図)。パート有業率は子供の年齢が6歳以上の場合には高くなっている。これは、子供が小学校に入ると比較的時間ができてパートタイムならば就業可能なことを示している。夫の収入については概ね右下がりの傾向がみられるが、フルタイムの場合に比べ緩やかになっている。
以上のように、フルタイムのほうがパートタイムに比べ、より夫の年収に影響を受けており、ダグラス−有沢の法則が強く働いているといえ、この傾向は夫の学歴、妻の年齢、末子の年齢別にみても共通した特徴である。フルタイムの妻の所得の方が一般にパートタイムと比べ金額が大きく、家計にとって必需的であると考えられることから、夫の収入が相当高くない限り、妻は勤務を継続するという意向を示していると考えられる。
仕事を生きがいと考える女性
妻の就業は夫の収入が大きければ少なくなる。しかし、働くことの意味や目的について男女別に尋ねたところ(問8)、「仕事が生きがいのひとつ」であるかについては男女では差がみられない。そこで本人の収入別にみてみよう。
男性は収入が800万円を超えると、「仕事は生きがいのひとつ」と感じている割合が増加する。一方、女性は200〜600万円未満で比較的生きがいと感じている人が多いが、収入がそれ以上になるとむしろ減少し、収入による特徴は男性ほど明確でない。(第3−11図)。
これは、男性は家計を支えるという意識が強く、働くことを当然と考えている人が多いが、女性は家庭にとどまるか、職場に出るかの選択をして、その結果働いている人が多く、必ずしも仕事を収入の手段とは考えていないからであろう。
結婚しない生き方に肯定的な女性
現在、晩婚化、非婚化が進行している。「結婚しない生き方をどう思うか」を尋ねると(問14)、女性は55.1%、男性は40.9%が賛成であり、男女の意識に差がみられる。
かすがいになる子供の存在
離婚に対する考え方(問15)についても、男女で差がみられる。女性は「問題があれば早く解消した方がよい」と考える人が41%と男性よりも10%ほど多くなっているのに対し、「きずなが希薄になり望ましくない」と考える人は男性よりも少ない。「子供が犠牲になる可能性がある」と考える人は男性は26.8%、女性は26.7%とほぼ同じ割合である。
同じ質問を行った平成4年度選好度調査結果の男性34.0%、女性31.0%と比べると、減少している。
次に、子供の有無別にみてみよう。男女とも子供のいる人のほうが、「子供が犠牲になる可能性がある」が上回っている(第3−14図)。
また、子供のいる人の方がいない人よりも「問題があれば、結婚は解消すればよい」が下回っており、子供はかすがいとなっているといえる。
平成7年には阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件などが発生し、日本社会の安全性や秩序の維持などへの関心が高まった。本章では、日本社会に対する意識や人々の生き方、考え方について、最近の国民の意識を検討する。
社会への意見ほど否定的でない自分の生活への見方
最近の日本社会への見方をみると(問5)、「あわただしく時間が過ぎていく」(79.2 %)、「変化が激しい」(68.9%)とみる人が多く、時代の移り変わりを感じる意見が多い (第4−1図)。また、「世の中に活気がない」(67.9%)、「不安なことが多い」(57.9%)とみる人も多く、社会を否定的にとらえる意見が多い。
そこで、これらの意見を持つ人が、自らのこれからの人生についてどのような見通しを持っているかをみると「世の中に活気がない」と回答した人の51.3%、「不安なことが多い」と回答した人の50.2%は明るい見通しを持っており(第4−2図)、現在の社会への否定的な意識を持つ人が、将来の個人生活に必ずしも不安を覚えているわけではない。これは社会に対する見方が、マスコミ情報により形成されることが多く、その情報は事件、事故など社会の暗い面に関するものが多いことなども一因として考えられる。
このように、社会全体に対しては否定的な意見が大勢を占めたが、国民は自らの生活を社会に対する見方よりもかなり肯定的にとらえていることが想像できる。
自分の生活環境を反映する個人に対する見方
個人に対する見方では、「無責任の人が多い」(79.4%)、「みんな自分勝手である」(79.2%)、「倫理観や社会正義が衰えている」(75.3%)、「他人に対して冷たい」(68.8 %)などが高く、道徳観念や倫理観に否定的な見方が高い(第4−1図)。
その一方、「個人の自由が尊重されてない」(49.6%)「尊重されている」(49.8%)、「まじめに努力しても報われない」(49.6%)「報われる」(50.1%)など、個人の勤勉努力や個人の自由に対する見方は肯定・否定が約半々であり、意見が分かれている。
これらの意見を年間収入別にみると、世帯の収入が400万円以上の世帯では全般的には
世帯の収入に比例して「個人の自由が尊重されている」「まじめに努力すれば報われる」という意見が高くなっている(第4−4図)。この世帯の収入には親や配偶者など自分以外の者による収入も含まれるので、自分自身だけの収入により集計した意見と比較すると、「個人の自由が尊重されている」は自分自身の収入による集計の方が世帯の収入による集計よりも総じて高い。これは、同じ収入水準でも、自分自身で稼得している方が自分の自由になる部分が大きくなるために、裁量の幅が広がり、「個人の自由」として認識されているからではないかと考えられる。
このように、個人に対する見方は、自らの生活の満足度や収入など個人を取り巻く環境によって影響を受けていることが想像できる。
現実を重視する意識が高い
個人の生き方について、現実主義的か否かに関わる問いをみると(問6)、「見栄を張ったり無理をするよりも、ありのままの自分で生きていく方がよい」(94.1%)、「あれこれ考えるよりはまずやってみることが重要だ」(86.9%)、「理想を追求するよりも、現状を重視してあまり無理をしない方がよい」(80.5%)などが高く、総じて理想や建て前よりも現実を重視する人が多く、男女別では女性が高い。
女性は家族との会話を欠かせないと思う意識が高い
普段の生活について欠かせないと思うことをきくと(問7)、家族と話をすることという意見は、男女別では全年齢とも女性の方が高く、特に20歳代にその傾向が強い。これを年齢別でみると、女性が30〜44歳、男性が35〜44歳に高く、一般に子育ての時期に家族の会話が欠かせない意識が高いと考えられる。
バブル崩壊後、消費者の奢侈的消費行動は減退し、堅実な消費行動が見られるようになった、といわれている。本章では最近の消費者の意識を、商品の購入基準の面から分析する。
自動車、テレビ、電気洗濯機、紳士スーツ、婦人ブラウス、女性用化粧品について、商品購入にあたって重視する点を1番目から3番目まで質問したところ(問23)、いずれの財においても「機能・品質のよさ」を1番目にあげている消費者が多く、「価格の安さ」は、商品選択にあたっては2番目、3番目の基準とされている。
財別の特徴としては、ファッション性の高い紳士スーツ、婦人ブラウスにおいて「デザインのよさ」が「機能・品質のよさ」以上に重視されていること、自動車、テレビ、洗濯機などの耐久消費財で「使いやすさや操作の簡単なもの」であることが重視されていることなどがあげられる。また自動車については「デザインのよさ」も商品選択にあたっての大きな基準となっている。
耐久消費財については、紳士スーツ、婦人ブラウスなどに比べて「価格の安さ」が重視されている。そのうちテレビについて、「価格の安さ」を商品購入にあたって1番目に重視するとした消費者の割合を、世代別、収入階級別にみた(第5−2図)。1000万円以上の高収入層では世代別の特徴ははっきりしないが、それ以外の収入階級では、若年層ほど価格を重視する傾向がある。
ファッション性を伴うとされる紳士スーツ、婦人ブラウス、女性用化粧品について、「ブランド名をよく聞くもの」であることを商品購入にあたって1番目に重視する、とした人の割合を、世代別、男女別にみると、いずれの財においても、商品購入にあたって、男性のほうがブランド志向が強く、紳士スーツ、婦人ブラウスについては若年層のほうがブランド志向が強い(第5−3図)。