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今週の指標 No.1197 近年の経常収支の推移について

ポイント

2018年5月8日

  1. 経常収支の近年の推移をみると、原油価格の低下などを受け貿易収支が2016年以降、黒字化する中、第一次所得収支の黒字が高水準で推移しており、サービス収支の赤字幅は減少傾向にある(図1)。以下に、経常収支の大半を占める第一次所得収支と赤字幅の減少がみられるサービス収支の推移について確認する。

  2. 第一次所得収支は、直接投資収益、証券投資収益が主であるが、近年、直接投資収益が拡大している(図2)。直接投資収益を地域別にみると、欧米に比べアジアが大きいことがわかる(図3)。さらに、アジアの国別にみると、中国、タイが半分を占めており(図4)、これは日本企業が多く進出する両国におけるオートメーション化需要の高まり(※1)などが投資を誘因しているものと考えられる(表1)。

  3. 次にサービス収支の推移をみると、輸送収支が概ね横ばいで推移する中、旅行収支の黒字幅が年々拡大している(図5)。これは、日本からの出国者が概ね横ばいである中、訪日外客数が増加しているためとみられる(図6)。国別に訪日外客数をみると、中国、韓国などの東アジアからが大半となっており、航空路線の拡充やクルーズ船寄港数の増加などが一因とみられる。ただし、一人当たりの消費額については、中国の伸びに一服感がみられ、全体としても概ね横ばいとなっている(図7)。

  4. また、サービス収支の内訳のうち、その他サービス収支についてみると、知的財産権等使用料の黒字幅が拡大している(図8)。知的財産権等使用料については、産業財産権等使用料と著作権等使用料(※2)に大別され、産業財産権等使用料の黒字が増加する中、著作権等使用料は赤字が続いている(図9)。著作権等使用料の赤字は、ソフトウェア使用権料などが多額に上るためとみられる。

  5. 産業財産権等使用料の受取について業種別に確認するため、「科学技術研究調査」による技術輸出(※3)の推移をみると、自動車などの輸送用機械器具製造業が多くを占めている他、医薬品製造業についても増加がみられる(図10)。輸送用機械について内訳をみると、アジアや北米向けが多く、また親子会社間取引の占める割合が高い(表2、3)。これは、日本の各自動車メーカーの海外進出の拡大によるものとみられ、海外生産台数の伸びとともに、産業財産権等使用料の受取が増加している(図11)。医薬品については、親子会社間取引の占める割合が相対的に低く(図12)、親子関係にない海外企業からの特許権使用料などが多くなっている。

  6. 今後、海外進出の拡大に伴う直接投資や産業財産権等使用料のさらなる増加、引き続きインバウンド需要を取り込んだ旅行収支の増加が期待される。

※1 中国では、製造業の発展に関する「中国製造2025」計画を進めており、タイでは、持続的な付加価値を創造できる社会を目指す「タイランド4.0」に向けた政策を行っている。
※2 産業財産権等使用料には、特許権、商標権などの使用料の他、技術情報の使用料などが計上され、著作権等使用料には、ソフトウェア、音楽、映像等を複製・頒布するための使用権料、著作物(音楽、映像、キャラクター等)の使用料、放映権料などが計上される。
※3 「科学技術研究調査」(総務省)による「技術貿易」とは、外国との間における特許権、ノウハウの提供や技術指導等、技術の提供又は受入れをいう。


図1~図12



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担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付
柴田 英樹 直通:03-6257-1569

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