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今週の指標 No.1195 中国における国有企業改革の経緯と最近の動向

ポイント

2018年3月29日

  1. 2017年10月、中国共産党第19回全国代表大会において、習近平総書記は、中国の抱える主要課題の一つとして、国有企業改革を挙げた。ここでは、中国における国有企業改革の経緯と最近の動向について概観する。。

  2. 中国では、80年代から、赤字を続けながらも政府の補助金により経営を継続する国有企業(※)の存在が問題となっていた。これは、当時の国有企業は、政府の意思決定を実行する行政機関の役割を担っていたため、コスト意識が低かったこと、また、国有企業が生産活動だけでなく、地域の教育や医療などの多様なサービスを提供する役割も担っていたため、過剰人員を抱えていたことなどによる。

  3. このため、80年代後半には、政府の国有企業に対する監督を緩和し、経営者の経営権を政府の所有権から分離することで、企業経営の柔軟化・効率化を目指した「請負制」などの導入が図られた。請負制とは、それまで企業利益の大部分を政府に上納していたものを、政府と企業で3~5年先の上納金をあらかじめ契約(請負)し、これを超える利益を企業の取り分とする制度である。

  4. しかし、90年代に入ると景気が悪化したことに加え、政治情勢の不安定化により、従業員の不満を高めないよう、政府への上納より従業員への利益の配分が優先されたことから、上納額を支払えない企業が増加した。このため、93年には、政府の監督に代わって株主の自主的な運営による企業価値の向上を企図し、会社法(公司法)が制定され、株式会社や有限会社などの会社制度が導入された。しかし、株式の大半は政府保有であったため、経営実態に大きな変化が生じなかったことから、更なる改革として、国有株売却による小規模企業の民営化と不採算企業の閉鎖が進められた。その結果、中国経済に占める国有企業のシェアは、雇用者数、鉱工業生産(付加価値)及び固定資産投資でみると、いずれにおいても低下傾向を示してきた。(図1)

  5. しかし、習近平政権においては、強く優良で大きな国有企業を目指す「作強・作優・作大」との方針が打ち出されている。中国政府は、習近平政権以前から、主に国有企業に民間資本を受け入れることで、収益性と経営効率を向上させる「混合所有制改革」も進めてきた。特に、習近平政権下では、国有企業を民営化することなく経営改善が期待できる混合所有制改革を国有企業改革の突破口と位置づけており、民営化に力点は置かれていない。

  6. また、ここ数年の経済指標の動きを見ても、固定資産投資では15年半ばから、鉱工業生産(付加価値ベース)では17年後半から、国有企業の伸びが民間企業の伸びを上回っており(図2、図3)、国有企業のプレゼンスは、足下ではやや高まっている。加えて、中国経済の成長に伴い中国国有企業の存在感は、世界経済においても増している。例えば、総収入に基づき企業をランク付けする「フォーチュン・グローバル500」をみると、世界企業上位500社に占める中国国有企業数は、2008年版では25社だったのに対し、2017年版では81社に増加している。(図4)

  7. このように、国有企業は、中国国内においてそのプレゼンスを長期的には低下させてきたが、足下でのプレゼンスはやや回復傾向にあり、世界経済における存在感も高まっている。現在、中国では「一帯一路」などの巨大プロジェクトが推し進められているところであり、国有企業は、その規模を活かした国家プロジェクトの担い手として、存在感を更に増していくものとみられ、今後の動向と改革の行方が注目される。

(※:1993年の会社法(公司法)制定前の正式な呼称は「国営企業」であり、会社法制定後に「国有企業」に呼称が改められたが、本稿では「国有企業」に呼称を統一している。本稿における「国有企業」とは、会社法制定前は、国家財政で設立され、全ての資産が国家の所有に属する非公司制の経済組織を指し、会社法制定後は、政府が株式の過半を保有する企業、又は政府が他の株主と比較して相対的に最も多くの株式を保有し、実質的な決定権を有する企業を指す。)


図1~図4



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担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付
松末 吉平 直通:03-6257-1583

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