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今週の指標 No.1180 キャッシュフローと設備投資の関係について

ポイント

2017年9月26日

  1. 9月1日に公表された2017年4-6月期法人企業統計季報によると、企業のキャッシュフローは前期比2.8%増加した一方で、設備投資(※)は同2.8%減となった。特に、中小製造業はキャッシュフローが同8.3%増加した一方で、設備投資が同18.0%減少した(図1)。以下では、キャッシュフローと設備投資の関係性について企業規模別、業種別に分析する。

  2. キャッシュフローと設備投資の時差相関を規模別・業種別に確認すると、非製造業では相関関係が見いだせない一方、製造業では特に中小企業の相関係数が高いことが分かる。さらに、製造業において、大中堅企業は3期ラグで相関係数が最大となるのに対し、中小企業では1期ラグで相関係数が最大となる(図2)。以下では、相関が認められる製造業について分析する。

  3. リーマン・ショック前後の時差相関の変化についてみると、中小企業はそれほど変化がなく相関係数が高いままであるのに対して、大中堅企業は相関が弱くなっていることが分かる(図3)。

  4. まず、中小企業の相関係数が高い理由としては、企業規模が小さいほど資金制約に直面しやすいことが挙げられる。日銀短観によれば、資金繰りが「苦しい」と回答する企業の割合は、中小企業が大中堅企業と比べて2倍以上高い(図4)。その中で中小企業は、キャッシュフローの動向に従って設備投資の実施・未実施を決定する傾向があるため、キャッシュフローと設備投資の相関係数が高く、ラグが短いと考えられる。その一方で、資金制約が比較的少ない大中堅企業は、年度初めまでに作成した設備投資計画を当年度に進捗させていく、という設備投資決定プロセスをとる企業が多いため、中小企業よりも相関係数が低く、ラグが長いと考えられる。

  5. また、大中堅企業の相関がリーマン・ショック後に弱くなっている背景の一つとしては、資金運用面での変化が挙げられる。企業規模別の資産構成の推移をみると、大中堅、中小ともに有形固定資産への比率が低下傾向にある中、大中堅企業は株式の比率が高まっている(図5)。資金が設備投資だけでなく、M&A等にも配分されるようになっているため、キャッシュフローと設備投資の相関が弱くなっている可能性があると考えられる。その一方で、中小企業はキャッシュフローの配分が比較的設備投資へ偏るため、キャッシュフローの動きと設備投資の動きが相関しやすいと考えられる。

  6. 以上の考察のように、キャッシュフローと設備投資の関係性には、企業規模別・業種別に違いがあるほか、時を経て変化が生じていることが分かった。企業の設備投資動向を分析する際には、これを踏まえた企業規模別・業種別の分析をした上で、M&A等の多様化している投資動向等、キャッシュフロー以外の要因にも着目することが必要である。

ソフトウェアを除く有形固定資産の投資。本稿で分析対象としている設備投資は、有形固定資産への投資。


図1~5



問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付
渡会 浩紀 直通:03-6257-1566

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