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今週の指標 No.1176 中国の人口動態が住宅実需に与える影響

ポイント

2017年8月29日

  1. 中国の住宅価格は、政府による住宅価格政策の変化に応じて上昇と下落とを繰り返しているが、昨今は、各種の住宅購入制限策(※1)にも関わらず、住宅価格は高止まりが続いている(図1)。この背景として、投機による住宅投資の過熱が指摘されている一方で、実需の底堅さも指摘されている。ここでは、人口推計をもとに2025年までの長期的な住宅実需の動向について考察したい。

  2. 住宅需要は世帯数の動向に基づくことから、省市別に人口と世帯当たり人数を推計することで将来の世帯数を計算し、それらを合計して中国全体の住宅需要(将来の住宅ストック数)をごく大まかに試算する。

  3. まず、省市別の人口を推計する。各省市の10~15年の人口増加率が今後も続くものと仮定し、これにより得られる各省市の人口を用いて、中国の総人口に占める各省市の人口シェアを求め、このシェアで国連推計による中国の総人口(※2)を案分した。国連の人口推計では中国の総人口は15年の13.7億人から25年には14.4億人に増加すると予測されているが(図2)、大都市への人口流入が影響し、省市別では大都市の人口が大きく増加することとなる(図3)。これまでも中国では大都市への人口流入が続いてきたが(表4)(※3)、昨今では、90年代生まれのいわゆる「90後」世代が就職のために地方から大都市に流入し始めたと考えられ、2025年にかけてこの世代の流入が続くものと見込まれる(前掲図2)(※4)。

  4. 次に、省市別に世帯当たり人数を推計する。世帯当たり人数については、いずれの省市においても減少傾向にあり、このトレンドを省市ごとに推計し、それらが今後も継続すると仮定して推計を行った。足元の状況をみると、15年における全国平均の世帯当たり人数は3.1人で、特に大都市では2人台に減少している(表4)。この要因としては、先にみたとおり、若年層が地方から大都市へ流入し、単身世帯が増加していること、また、足元の婚姻率には大きな変化がないものの、出生率は20代を中心に低下トレンドにあり、少子化が進んでいることなどが挙げられる(※5)。こうした流れから、世帯当たり人数は今後も減少するものと予測される(図6)。

  5. 以上のとおり、今後、中国の総人口が緩やかに増加する一方で、大都市への人口流入などによる世帯当たり人数の減少により、世帯数の増加が続き、これに伴い、住宅実需は堅調に推移していくものと予測される(図6)。ただし、住宅に対する長期的な実需は底堅いと予測されるものの、短期的には、政府による住宅購入制限策の影響などから、調整局面を迎える可能性もあり、今後の住宅投資の動向については引き続き留意する必要があろう。

(※1)2016年は1級都市を中心に、17年以後は多くの都市で住宅購入制限策が実施された。主な内容として、頭金比率の引上げ等の住宅ローン制限、購入資格制限、転売制限がある。

(※2)United Nations ”World Population Prospects: The 2017 Revision”より中位推計値を使用。

(※3)広東省の人口純流入率は2015年までにマイナスに転じたとみられるが、要因の一つとして、不動産価格上昇、地方で働く場が増えていることから、故郷に帰る者がいるとの事例もみられる。

(※4)ミレニアル世代での比較(1981~98年生まれ)において、中国は持ち家比率及び住宅購入予定者の比率が他国に比べて高いとの調査結果もある。足元の住宅購入は「80後」世代が主に行っているとみられる。

(※5)これらに加えて、高齢化の急速な進行も、核家族化とあいまって世帯当たり人数の減少に寄与する。


図1~6



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寺崎 達哉 直通:03-6257-1583

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