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今週の指標 No.1166 賃金上昇による物価の押上げ効果について

ポイント

2017年3月27日

  1. 1980年代以降の賃金(所定内給与)上昇率と消費者物価上昇率の推移を確認すると、1990年代後半までは、多くの期間で賃金の前年比上昇率が消費者物価のそれを上回っていた(図1)。一方、日本がデフレ状況となった1999年以降をみると(注1)、ほとんどの年で賃金及び消費者物価は前年比で下落している。ただし、2014年半ば以降では、賃金及び消費者物価(生鮮食品及びエネルギーを除く総合、以下「コアコア」という。)は前年比プラス圏で推移している。

  2. 賃金上昇率と消費者物価(コアコア)上昇率の時差相関をみると、賃金上昇率が1四半期先行したところで、相関が最大となっている(図2)。これは、賃金変動が消費者物価の変動に影響を及ぼしている可能性を示唆している。

  3. そこで、日本がデフレ状況となった1999年以降とそれ以前に分けた上で、消費者物価(コアコア)上昇率を賃金要因、予想物価要因、輸入物価要因及び慣性要因に要因分解を行った。1998年以前では、賃金要因は安定的に物価上昇に寄与しており、賃金上昇が物価上昇に結びついていたことが確認される(図3)。一方、1999年以降は、賃金が多くの期間で前年比マイナスとなる中、賃金要因が物価動向に及ぼす寄与が縮小しており、賃金と物価の関係が希薄化していることが窺われる(図4)。

  4. 1995年及び2011年の産業連関表を用いて、賃金上昇等の費用の増加が物価に及ぼす影響を試算すると、1995年から2011年にかけて、全部門の賃金上昇が物価に及ぼす影響はわずかに低下している(図5(1)、注2)。これは、国内生産額に占める雇用者所得の割合が、約29%から約26%に低下したことが一因と考えられる。一方、為替が円安方向へ推移した場合や原油価格が上昇した場合の影響は拡大している。なお、全部門の賃金が2%上昇した場合の各部門の寄与度をみると、1995年と2011年のいずれの時点でも小売、飲食サービス、卸売、生命保険などのサービス業の寄与度が大きくなっている(図5(2)、(3))。

(注1)内閣府(2001)は、消費者物価(CPI、生鮮食品を除く総合)は、1999年秋以降前年割れしており、CPIでみると日本経済は既に2年程度緩やかなデフレの状態にあると述べている。

(注2)賃金が上昇した場合には、家計消費の増加などを通じてGDPギャップの改善が進む可能性がある。本試算は、日本経済の産業構造や各産業の費用構造を一定とした上で、費用の増加が財・サービス価格に全て転嫁された場合の影響を示したものであり、①GDPギャップの変動が物価に及ぼす影響、②生産性の向上による影響などを考慮していない。そのため、本試算の結果については、相当の幅をもってみる必要がある。

(参考文献)内閣府(2001)『平成13年度 年次経済財政報告』

      内閣府政策統括官(経済財政分析担当)(2012)『日本経済2011-2012 -厳しい調整の中で活路を求める日本企業-』


図1~5





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福田 洋介、 直通:03-6257-1569

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