内閣府 Cabinet Office, Government of Japan

内閣府ホーム  >  内閣府の政策  >  経済財政政策  >  経済財政政策関係公表資料  >  今週の指標  >  今週の指標 No.1161

今週の指標 No.1161 法人企業統計季報と上場企業決算の差異について

ポイント

2017年2月6日

  1. 企業収益動向をみる主な統計として、法人企業統計季報(以下、「法季」という。)と上場企業の四半期決算データ(以下、「上場決算」という。)があり、ここでは、法季と上場決算の間に存在する統計上の違いを確認する(表1)。

  2. まず、両データの対象企業について、法季は資本金1千万円以上の企業を対象とするのに対し、上場決算では上場企業を対象としている。2015年10~12月期から2016年7~9月期の1年間の経常利益の合計額をみると、法季では約68兆円であるのに対し、上場決算では約38兆円である(図1)。これは、上場決算では約2,900社を対象企業(※1)としているのに対し、法季は約27,000社を対象(※2)としており、法季の経常利益額には、多数の非上場企業の収益が含まれていることが影響している。

  3. 次に、法季は単独決算ベースの数値であるのに対し、上場決算は連結決算ベースである。図2①をみると、製造業の2013年後半頃の上場決算の経常利益(前年比)は法季のそれよりも20%ポイント程度高い。これは、2013年に為替レートの円安方向への動きが急速に進む中、海外子会社で上げた利益のうち配当されない部分も含めた連結ベースの経常利益が、単体ベースのそれに比べ円換算で大きくなったことが影響している。また、図3をみると、法季の大企業非製造業(※3)と上場決算の経常利益額の乖離は、例年4~6月期に拡大する傾向がある。これは、企業グループ内の取引について、法季では個社の取引が別々に反映される一方、上場決算では内部取引として相殺されることから、グループ内の純粋持株会社が海外子会社等から配当金を受け取った場合には、当該配当金が法季では経常利益を押し上げる一方、上場決算の経常利益には影響を与えないことが影響している。

  4. さらに、法季は主として日本基準であるのに対し、上場決算は米国会計基準、IFRS(※4) 等、各種会計基準が混在している。図2②をみると、上場決算の経常利益(前年比)は-20.6%である一方、法季のそれは-1.3%となっている。この時期には、上場決算でIFRSや米国基準を採用する一部の企業において、多額のリストラ費用、固定資産の減損損失等が発生したが、こうした損益はIFRSや米国基準の営業損益に含まれる一方、日本基準では経常利益ではなく、特別損益に含まれることが影響している。実際、減損等の特別損失のあった一部の企業を除くと、両者の乖離幅は大きく縮小する(図4)。

  5. 以上のように、法季と上場決算との間には対象企業に違いがあるほか、単独・連結ベース、当該企業が採用する会計基準に違いがある。企業収益動向を正確に捉えるためには、分析目的に応じ、それぞれのデータ特有のクセを認識したうえで判断することが必要である。

(※1)四半期決算を提出している企業。社数は企業グループの親会社のみ。

(※2)金融・保険を除く標本法人数。

(※3)資本金10億円以上の企業。

(※4)IFRSとは、国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)の略で、国際会計基準審議会(IASB)によって設定された会計基準の総称。


図1~4





問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付
逆井 綾奈、 直通:03-6257-1566

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)