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今週の指標 No.1160 ブラジルの景気動向並びに投資機会と中長期の展望

ポイント

2017年1月30日

  1. 本稿では、ブラジルの景気動向を踏まえた上で、潜在的な投資機会と中長期的展望を俯瞰する。

  2. ブラジルでは、2005年以降、世界金融危機の影響を受けた09年を除き高い経済成長率を記録していた。14年4-6月期以降は国際商品市況の悪化等の影響(※1)から10四半期連続で前年比マイナス成長が続いているものの、実質GDP成長率(前年同期比)は16年4-6月期の▲3.6%から7-9月期には▲2.9%にマイナス幅を0.7%ポイント縮小するなど、足下では景気持ち直しの動きがみられている。また、ブラジル中銀は16年10月以降3会合連続で政策金利を引き下げており、今後も景況の改善に向けた動きは続くものと期待される(※2)。

  3. また、こうした短期的な景気浮揚にとどまらず、中長期的な発展の可能性も見込まれる。この理由としては、第一に人口増加と中間層の拡大に伴う消費市場の成長が挙げられる。国連の中位推計によれば、ブラジルの15~64歳人口は2040年まで増加が続くと見込まれており、今後20年以上に渡って人口ボーナス(※3)の期間が続くものと期待される(図2(1))。また、03年に創設されたボルサ・ファミリア(※4)等の貧困対策によって所得格差が縮小しており、中間層が拡大している。05年から15年までの間にジニ係数は約0.06ポイント改善しているほか、所得階層別の所得シェアは第Ⅴ五分位を除くすべての階級で上昇しており、消費者の潜在的な購買力が高まっていると考えられる(図2(2))。実際の消費の動向をみると、自動車登録台数は16年以降マイナス幅がほぼ一貫して縮小しており、17年にはプラスに転じることが見込まれているなど、今後の成長が期待される(図3)。第二に、外国資本にとって比較的参入し易しい点が挙げられる。ブラジルでは多くの産業が対外的に開放されており、中南米地域でブラジルに次いでGDPの大きいメキシコ(※5)と比較しても開放度が高く、数多くの産業で国際平均を上回る開放度となっている(図4(1))。実際にブラジルにおける売上高上位100社の国籍別内訳をみると、約半数が外国国籍の企業で占められていることから、他の新興国・途上国に比べ、外国資本にとって潜在的な投資機会は豊富に存在していると考えられる(図4(2))。

  4. 以上みてきたとおり、ブラジルでは、短期的な景気持ち直しの兆しがみられる上、中長期的にも多くの潜在的投資機会が秘められていると考えられることから、今後一層の発展が期待される。ただし、中長期的には、内閣府(2016)(※6)でも指摘されているように、ビジネス環境の整備に一定の余地が残されていると考えられる。世界銀行によれば、ブラジルのビジネス環境は調査対象の189か国中116位に位置しており、他の主要新興国・途上国と比べても下位にある(図5)。テメル政権は16年12月に発表した政策集(※7)のなかで、官庁統合によるビジネス手続きの簡略化を打ち出すなど構造改革に取り組んでいるところであり、今後も果断な政策対応が求められる。

(※1)2015年のブラジルの総輸出額に占める一次産品依存度は約40%(全ての輸出品目のうち、HSコード01~12類と25~27類を一次産品として算出)と高く、資源価格下落の影響を受けやすい経済構造となっている。

(※2)ただし、ドル高やアメリカの長期金利上昇による影響等には留意が必要である。

(※3)人口ボーナスとは、「労働力人口が増加することによって成長率が高まっていく状態」を指す(内閣府(2015)「選択する未来」による)。

(※4)子供に健康診断を受けさせ、就学させる義務を果たせば現金給付を受けることができる制度。

(※5)IMF"World Economic Outlook, October 2016"によれば、ドルベースの名目GDPはブラジル1.8兆ドル、メキシコ1.1兆ドル。

(※6)内閣府(2016)「世界経済の潮流2016Ⅰ」参照。

(※7)その他の主な施策は、企業負担による退職金積み立て制度による資金運用益を最大半分まで労働者に還元、一部の中小企業が保有する負債の低利借換え促進、等。


図1-5

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担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付
阿部 龍斗 直通:03-6257-1581

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