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今週の指標 No.1153 新興国への債券投資の現状とリスク

ポイント

2016年10月3日

  1. 近年における新興国への証券投資は、いくつかのリスクイベントの時期を除き、おおむねプラス(流入超)で推移している(図1)。証券投資の動向を地域別にみると、株式については全地域同時に増加ないし減少する傾向がみられる一方、債券については地域ごとの動きがまちまちとなっている(図2)。債券の大半が国債であることを踏まえると、このような動きの違いには、投資家からみた各国国債の魅力やリスク評価の違いが影響している可能性があると考えられる。

  2. 新興国の国債利回りは、低金利の続く先進国と比較して全般に高水準で推移している(図3、図4)。ただし、このような利回りの高さには信用リスク(リスクプレミアム)の違いが反映されており、ファンダメンタルズの弱い国への債券フローに影響を与えることに注意が必要である。

  3. 各国国債の総合的な信用リスクの違いは、格付機関による格付けや、CDSプレミアムにも反映されているが(図5)、ここでは、信用リスクに影響するファンダメンタルズに着目し、新興国経済の状況を分析する。

    (1)インフレ率:高インフレ率は実質所得を抑制するほか、金融引き締めを通じて経済成長の下押し要因にもなることから、投資家のリスク評価に影響する。新興国の中には、金融政策目標を上回る高インフレ率となっている国がみられる(図7)。

    (2)財政状況:景気下支えの観点からの財政政策の余地や、政府債務の持続可能性も投資家のリスク評価に影響する。プライマリー・バランスGDP比と政府総債務残高GDP比からは、財政状況が厳しい国があることがみてとれる(図8)。

    (3)経常収支と外貨準備高:経常収支赤字の国については、自国通貨安を通じて対外債務のデフォルトリスクが高まる可能性があることから、外貨準備残高が投資家のリスク評価に影響する(図6の経常収支部分)。投資家の間では、輸入金額の3か月分以上、短期対外債務残高の1倍以上の外貨準備高があることが望ましいとの見方がされることがあるが、一部の国では短期対外債務残高に比して外貨準備高が低い水準となっていることがみてとれる(図9)。

  4. 新興国への債券投資フローを分析する際には、利回りとトレードオフの関係にある信用リスクに影響を及ぼすファンダメンタルズを複合的かつ横断的に評価することが重要である。


図1~9



問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付
横山 澄人、 直通:03-6257-1581

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