内閣府 Cabinet Office, Government of Japan

内閣府ホーム  >  今週の指標  >  今週の指標 No.1142

今週の指標 No.1142 インドネシア 投資動向について

ポイント

2016年5月2日

  1. インドネシアの実質経済成長率は2010年(6.4%)以降毎年低下し、15年(4.8%)は09年(4.6%)以来の低い伸びとなった。この間、個人消費は堅調に推移したものの、総固定資本形成の伸びが13年以降低下し、成長率を下押しした。ただし、15年後半以降は総固定資本形成の伸びが上昇に転じ、足元の景気を下支えしている(図1)。以下ではこのような動きの背景について分析する。

  2. 13年5月のいわゆる「バーナンキ・ショック」と、同年6月のインドネシア政府による燃料補助金の削減等により、インドネシア経済は急速な為替相場の下落とインフレ率の上昇に見舞われた(図2)。これに対し、インドネシア中央銀行(Bank Indonesia: BI)は、政策金利(BIレート)を13年6月から11月にかけて計5回にわたり引き上げた(図3)。このことが、銀行の貸出金利の上昇、企業向け貸出残高と民間投資の伸びの急速な鈍化につながったと考えられる(図3、4)(※1)。

  3. 14年10月に発足したジョコ・ウィドド新政権は、燃料補助金をさらに削減し、浮いた財源をインフラ整備の拡大に割り当てるとの方針を発表した。15年のインフラ関連予算は前年比約1.6倍に拡大され、15年後半には建設投資、中央政府の資本支出(図5)、セメント国内販売の伸びが加速した(図6)。この結果、15年第4四半期の実質経済成長率は前年同期比5.0%に持ち直した。16年もインフラ関連予算は前年比約8%拡大しており、引き続きインフラ投資が積極的に行われている。(※2)

  4. このように足元の景気は公共投資に支えられているものの、政府支出の拡大には限界があり、今後は民需主導の成長を実現していくことが不可欠である(※3)。為替や消費者物価上昇率が安定(※4)する中、中央銀行は16年1月から3か月連続で政策金利を引き下げており、企業向け貸出や民間投資の拡大につながることが期待される。

  5. 一方で、インドネシアは、民間企業が事業を行う上での環境整備が遅れている点に留意が必要である。世界銀行によるビジネス環境ランキングにおいては、インドネシアは109位(189か国中)となっており、マレーシアやタイなどのASEAN諸国と比べても大きく後れをとっている(表7)。

  6. 政府は15年9月から16年4月にかけて重複規制の簡素化、投資認可や税制優遇措置に係る手続きの簡素化・迅速化、特定分野における外資出資比率の上限引上げ等、全11弾の経済政策パッケージを発表している。これらの政策を通じ、民間投資の拡大を通じた持続的な経済成長が実現するかどうか、引き続き注視していく必要がある。

(※1)総固定資本形成のうち、「機械、装置等」は主に民間部門によるものと考えられる。一方、「建設」には政府によるインフラ投資の他、民間住宅投資も含まれる。

(※2)政府は14年11月、政府支出の約2割を占めていた燃料補助金を削減し、それによって生じた財源をインフラ整備等に割り当てると発表した。実際、燃料補助金は15年1月に全廃されたものの、予算の
     見直しや省庁再編に時間を要したため、15年の予算執行は前年と比べて遅れていた。

(※3)インドネシアでは、財政赤字の上限は対GDP比3%と法律で定められている。15年の赤字比率は2.8%と前年(同2.2%)より拡大した。16年は予算ベースでは同2.2%に抑えられているものの、前提条
     件(16年成長率5.3%、原油価格50ドル/バレル等)を考慮すると、同比率が拡大するリスクがある。

(※4)16年のインフレターゲットは4%±1%。


図1~6

問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付
中村 隆臣 直通:03-6257-1582

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)