内閣府 Cabinet Office, Government of Japan

内閣府ホーム  >  今週の指標  >  今週の指標 No.1133

今週の指標 No.1133 経済危機下のギリシャにおける個人消費の動向

ポイント

2015年11月30日

  1. 経済危機の続くギリシャにおいて、2015年第1四半期、第2四半期において、わずかではあるものの実質GDPが2期連続のプラス成長を記録した(図1)。特に、第2四半期には個人消費が前期比0.6%増と比較的高い伸びを記録した。ギリシャへの金融支援を巡って厳しい交渉が行われるなど、経済の不透明感が高まっていたこの時期にギリシャの個人消費が増加した理由について考察する。

  2. まず、小売統計をみると、15年第2四半期は前期比+0.7%であり、同じく個人消費の寄与が大きい13年第4四半期や14年第3四半期に比べて小幅な上昇にとどまっている(図2)。一方、ユーロスタットの公表する民間最終消費支出の内訳をみると、15年第2四半期は耐久財の消費が前期比+5.1%と大きく伸びていることがわかる。2009年第3四半期以降、耐久財がこのように大幅な伸びを記録したことはない(図3)。

  3. 耐久財のうち、小売統計には含まれない自動車の新車登録台数をみると、15年1月から3月までは前年、前々年の水準とほぼ変わらないが、4月から6月にかけて前年を大幅に上回る伸びとなっており(図4)、個人消費を押し上げた要因は自動車販売の増加であると推測できる。

  4. ギリシャでは15年1月の総選挙の結果、反緊縮を掲げる急進左派連合が政権についたため、債権団(欧州委員会、欧州中央銀行、国際通貨基金)との金融支援交渉が難航した。政治・経済情勢の不安定化を反映して、ギリシャの国内銀行から上半期に約470億ユーロもの預金が引き出されたが、これと軌を一にして新車登録台数が増加している(図4)。

  5. 特に第2四半期にはギリシャ政府と債権団との交渉が行き詰まり、ユーロ圏財務相会合でもギリシャのユーロ圏離脱の可能性が検討される状況となっていたことから、ギリシャ国民は自国のユーロ圏離脱を強く意識したと考えられる。仮にギリシャがユーロ圏から離脱したとしても通貨ユーロは使用できるものの、ギリシャは地理的に他のユーロ圏諸国から離れており、ユーロを容易には利用できなくなる。このような状況で、多くの消費者が手元の現金を資産価値があり、換金性の高い財に交換する行動をとることは十分に考えられる。よって、第2四半期の個人消費の増加は、債務危機下において自国のユーロ圏離脱の危機に直面したギリシャ国民がリスク回避行動として自動車購入を増やしたことも一因であると考えられる。なお、ギリシャのユーロ圏離脱懸念が解消した第3四半期の自動車登録台数は前年割れになるとともに、実質GDP及び個人消費の成長率はマイナスとなった。


図1:ギリシャの実質経済成長率 図2:小売指数の推移図3:民間最終消費支出及び耐久財の推移 図4:新車登録台数と預金流出額の推移



問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付
坂田 慶子 直通:03-6257-1582

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)