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今週の指標 No.1131 転職時の賃金変動について

ポイント

2015年11月2日

  1. 厚生労働省「雇用動向調査(2014年)」によると、転職時に賃金が増加した者の割合から減少した者の割合を引いた賃金変動DIは、2006年以来の高水準となった(図1)。景気の緩やかな回復とともに、自らの知識やスキルを活かせる場やより良い待遇を求めて転職を行う自発的転職者が増加する中で、60歳未満の世代において、転職時に賃金が改善する動きがみられる。以下では、転職時に賃金が改善した背景について、より仔細に把握するため、転職時における産業間、企業規模間の移動や、雇用形態の転換について確認した。

  2. 第一に、産業間の移動について確認すると、多くの産業において同一産業からの転職者の割合が増加する中で、賃金変動DIは改善している(図2)。転職時の賃金改善の背景には、前職までに蓄積してきた知識やスキルを活かしやすい同一産業への転職者が増えたことあると考えられる(注1)。

  3. 第二に、企業規模間の移動について確認すると、前職よりも規模の大きい企業に移動する者の割合が増加し、規模の小さい企業に移動する者の割合が減少している(図3)。転職者がより良い待遇を求める中、企業の人手不足感の高まりも相まって、より規模の大きい企業へ転職したものと考えられる。

  4. 第三に、雇用形態の転換について確認すると、転職時に非正規から正規に転換する者が増加する一方、正規から非正規に転換する者が減少している(図4)。企業は、人手不足感が高まる中で、人材の確保・定着を図るため、正社員への雇用シフトを進めており(注2)、こうした動きが転職時の賃金改善に寄与したと考えられる。

(注1)阿部(2005)は、転職者が産業間を移動する場合、前職まで培ってきた産業特殊的人的資本が役に立たなくなることで、同一産業内を移動する場合よりも賃金の低下率は大きいと述べている。

(注2)内閣府(2015)は、企業へのアンケート調査を通じて、企業が正社員への雇用シフトを進めていることを明らかにしている。

(参考文献) 阿部正浩(2005)「日本経済の環境変化と労働市場(東洋経済新報社)」、内閣府(2015)「平成27年度 年次経済財政白書」


図1

図2

図3

図4



問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付
紙谷 有紀 直通:03-6257-1568

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