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今週の指標 No.1130 中国:生産者物価指数(PPI)の下落とその影響

ポイント

2015年10月26日

  1. 中国では、消費者物価指数(以下CPI)の伸びはおおむね横ばいで推移している。一方で、企業間取引における出荷価格である生産者物価指数(以下PPI)の伸びは前年比マイナスで推移している(図1)。

  2. PPIの伸びを財別に見ると、鉄金属加工や化学製品での下落幅が大きい。それ以外にも、電気機器、繊維、通信・コンピューター類など、幅広い財において下落が続いている(図2)。

  3. 幅広い分野でPPIが下落している要因としては、国際商品価格の下落の他に、過剰生産能力の存在が挙げられる。2008年に発生した世界金融危機に対応するために、中国政府は2009年から巨額の景気対策を実施してきた。それに呼応するかたちで、民間企業も借入れを増やし設備投資を行なってきた経緯がある。中国の非金融企業の債務残高は、14年末時点で名目GDP比156%に達しており、既にバブル期の日本のピークである149%を超えている(図3)。企業の過剰生産能力は、相当程度高まっているものと推測される。

  4. 過剰生産能力を有している企業は、直接的な資本ストック調整圧力を受けていると考えられる。また、過剰設備の存在は、実質金利(※1)の押上げを通じて、幅広い企業の設備投資意欲の減退につながっている可能性がある。PPIを基準に実質的な借り入れコストを表わす実質金利をとると、15年に入り一層上昇している(図4)。中国人民銀行は14年11月から6回にわたり利下げを行っているものの、PPIの下落幅の方が大きいことが、実質金利の上昇につながっている。実質金利の高まりに対応するかたちで、中国人民銀行の調査(※2)による製造業の資金需要DIは、15年Q3に過去最低を更新した。

  5. 中国では、過剰生産能力の存在が、企業の設備投資姿勢を慎重化させていることに加えて、PPIに下押し圧力をかけ実質金利を上昇させることを通じて、設備投資の抑制要因となっていると考えられる。既に政府からは老朽化した設備を中心に廃棄命令が出ているが、実行は遅れているとの見方が強い。今後、過剰設備の整理が進むかどうかについて、注視していく必要があると考える。

(※1)定義上、実質金利は名目金利から期待インフレ率を控除して求める。本稿では製造部門における実質的な借り入れコストを簡便に測る目的から、PPI前年比伸び率の実績値を用いた。

(※2)中国人民銀行が四半期毎に行っているアンケート調査。3,100の銀行が対象。景況感、業況感、資金需要の増減、融資承認の硬軟など多様な項目を調査している。製造業資金需要DIは15年Q3に49.9ポイントをつけ、資金需要の増加と減少の境である50を初めて下回った。


図1:CPI・PPIの推移 図2:PPIの内訳別推移

図3:非金融企業債務残高 図4:実質金利と資金需要



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担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付
久保 和貴 直通:03-6257-1583

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