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今週の指標 No.1125 アメリカ:賃金の動向

ポイント

2015年8月31日

  1. アメリカでは、景気は弱めの動きもみられるが、回復が続いている。このような状況下、FRBは金融政策の正常化へ向けて舵を切ろうと、その前提条件となるデュアルマンデート(雇用最大化、物価の安定)の達成状況を注視している。今回は労働市場の状況について、賃金の動向を確認する。

  2. 賃金の動向をみる主な指標としては、(1)平均時給(月次)、(2)雇用コスト指数(四半期)がある。雇用コスト指数はベネフィットコスト(残業代、保険・社会保障関連費用等)といった会社負担の費用を含む点で、最も包括的に労働コストの動向を把握でき、PCEデフレータとの相関が高いことから、FRBが重要視している指標である(図1)。

  3. 平均時給と雇用コスト指数の関係をみると、平均時給が雇用コスト指数に半年程度遅行する傾向にあり、2015年1~3月期までの雇用コスト指数からは平均時給の持ち直しが示唆されていた(図2)。

  4. しかし、15年4~6月期の雇用コスト指数は前年比+2.0%と、伸び率は前期(同+2.6%)よりも低下した(図2)。内訳をみると、サービス部門のうち、特に専門ビジネスサービス業の伸びの鈍化が響いたとみられる(図3)。前期からの前年比伸び率の低下が相対的に大きかった原因として、振れが大きい成功報酬(法律、会計、経営コンサルタント業等)によるところが大きいと考えられる(図4)。 このように、雇用コスト指数は15年4~6月期には軟調な動きとなったが、過去からの推移をみると、基調としては上向いているとみられる。

  5. 個別企業をみても、賃上げの動きが広がっている。ニューヨーク州は、州内の大規模ファストフード店に対して、最低賃金を今後数年間で段階的に時給8.75ドルから15ドルまで引き上げるよう勧告を行った。また、NABE(全米企業エコノミスト協会)の7月の経済状況調査(15年1~3月期分)では、112人・機関のうち、高スキル労働者が不足していると回答する者の割合が35%となり、14年7月調査の22%、15年4月調査の25%から、上昇傾向にある。

  6. 上述のとおり、雇用コスト指数には弱い動きもみられるが、企業の賃上げの状況や高スキル労働者の需給をみると、賃金の伸びはこれまでの低い水準から徐々に高まっていくものとみられる。


図1:雇用コスト指数とコアPCEデフレータの推移
図2:平均時給(3MA)と雇用コスト指数の推移
図3:民間部門の賃金・報酬の内訳推移
図4:雇用コスト指数の系列別の推移
問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付
横山 澄人 直通:03-6257-1581

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