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今週の指標 No.1113 アメリカ: 住宅販売の動向

ポイント

2015年2月2日

  1. アメリカでは、景気は回復しており、雇用情勢の改善や生産の増加等が続いているが、こうした中、住宅市場の回復は遅れている。住宅市場の活発化は、家具や家電といった耐久消費財の需要、建築業界の雇用等への波及効果を持つことからも、その動向が注目されている。

  2. 中古、新築住宅販売件数をみると、いずれも2013年後半の金利上昇や14年初頭の寒波による下押しは一巡しているものの、14年通年では中古は減少(前年比▲3.1%の493万件)しており、新築についても小幅増(同1.2%の43.5万件)にとどまっている(図1)。中古住宅販売の内訳をみると、初回住宅購入が低迷している(図2)。また、14年の中古住宅販売に占める初回購入者割合は29%と、1981年の統計開始以来の過去最低水準にあり、住宅市場の力強い回復に必要とされる40~45%の水準を大きく下回っている。

  3. 初回住宅購入の低迷の一因としては、金融危機以降の住宅ローン貸出態度の厳格化が挙げられる。初回住宅購入者は、比較的若い世代が多く、クレジットスコアが低い傾向にあり、貸出態度の厳格化の影響が相対的に強くあらわれているとみられる。また、初回住宅購入者の住宅取得能力指数(※1)が13年半ば頃から低下傾向にあり、借入可能な最低ラインである100に近づいていることもある(図3)。

  4. こうした状況の下、FHA(米連邦住宅局)(※2)は、住宅ローン年間保険料を15年1月26日より1.35%から0.85%に引き下げることとした(1月7日発表)。当局は、この改訂によって初回購入者の保険料負担は年間平均約900ドル軽減され、新たに25万件の住宅購入が促されると推計している。住宅ローン申請指数は足元で増加傾向となっており、特に15年1月3日~1月9日までの週は前年同週比30%と大きく伸びている(図4)。背景には、住宅ローン金利が13年5月以来の低水準となったことに加え、FHAの施策に対する反応も現れていると考えられる。

  5. 上記の政策効果が発揮されることに加え、景気回復に伴い家計所得の増加も見込まれ、15年の住宅販売市場は持ち直しが続くと期待される。一方、金融政策正常化に向けて年央にも利上げが見込まれており、金利の先行きが住宅販売動向に与える影響を注視する必要がある。

(※1)中位所得世帯が中位価格の住宅を購入するために、頭金20%で30年ローンを組む際の「借入に必要な最低収入」で、「家計所得」を除して算出された値。つまり、借入の最低必要収入と家計所得とが一致するときに100となる。

(※2)FHAは、主に初回住宅購入者や低中所得者向けの住宅ローン保証業務を担っており、新規住宅ローンの5分の1相当を保証している。頭金の支払い比率を3.5%とする措置をとっているため、これを利用する初回住宅購入者が多い。


図1:住宅販売件数 図2:初回住宅購入の件数と、中古受託販売に占める割合の推移

図3:住宅取得能力指数 図4:住宅ローン申請指数
(備考)アメリカ商務省、NAR(全米不動産業者協会)、MBA(全米抵当貸付銀行協会)、フレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)より作成。

問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付
高橋 あゆみ 直通:03-6257-1581

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