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今週の指標 No.1101 タイ:民間消費低迷の背景

ポイント

2014年7月28日

  1. 実質GDP成長率(前年比)が、2014年1~3月期にマイナスに転じるなど(図1)、タイの景気は弱い動きとなっているが、こうした動きをもたらした要因の一つは、民間消費の低迷といえる。GDP成長率に対する民間消費の寄与度は13年7~9月期以降マイナスが続いている。また、民間消費指数(季節調整値)でみても、13年以降14年4月までは減少傾向が続いてきた(図2)(注1)。

  2. 消費低迷の背景には、消費マインドの悪化がある。11年秋に発生した洪水からの復興も一巡し、復興需要の反動減により景気に対する先行き不安感等が続いていたところに、13年11月に始まった政情不安も加わり、消費者のマインドが冷え込んだ(図3)。また、自動車購入奨励策(注2)の影響もあり、家計債務負担が増加していることも挙げられる(図4)。同施策により、自動車販売台数は急増したが(図5)、同時に自動車ローンの利用に伴う家計債務負担も増加したと考えられる。

  3. 一方、14年5月に軍によるクーデターが発生し、国内の政治混乱はひとまず沈静化している。軍政は、インラック政権時に滞っていた農家へのコメ担保融資制度(事実上の買付け)の融資供与の実施を権力掌握直後に決定するなど、経済的支援を実施し、こうした中、消費に下げ止まりの兆しもみえている。同月の消費者信頼感指数が約1年振りに上昇するとともに(図3)、民間消費指数も増加に転じている(図2)。

  4. しかし、政情不安が解消されても、家計債務負担の問題は残っており、たとえ経済的支援により家計の収入が増えたとしても、まず債務の返済に回され、消費への効果は限定的と考えられる。家計債務問題は短期間で解決するものではないため、タイの民間消費が回復するには時間がかかると考えられる。

(注1) 民間消費指数は、タイ銀行が自動車国内販売、石油販売、家庭電力消費、実質消費財輸入、実質付加価値税の5項目の季節調整値を合成したもの。
(注2) 自動車産業振興のため、インラック政権(当時)が11年9月から12年12月にかけて実施したもので、初めて買う国産車につき、10万バーツを上限として物品税を払い戻すもの。


図1 実質GDP 図2 民間消費指数(季節調整値)

図3 消費者信頼感指数 図4 家計債務(金融機関の家計向け与信)

図5 自動車販売台数


(備考)
タイ中央銀行、タイ国家経済社会開発委員会、タイ商工会議所大学、Toyota Motor Thailand Co., Ltd.より作成。


問合せ先
担当:政策統括官(経済財政分析担当)付参事官(海外担当)
吉井 和義 直通:03-6257-1583

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