内閣府 Cabinet Office, Government of Japan

内閣府ホーム  >  今週の指標  >  今週の指標 No.1098

今週の指標 No.1098 トルコ:物価上昇の動向

ポイント

2014年6月2日

  1. トルコの14年4月の消費者物価指数(CPI)は前年比+9.4%となった。CPI上昇率はこのところ高まってきており、トルコ中央銀行の設定するインフレ目標(+5.0%)から大幅にかい離している(図1)。こうした物価の上昇について各項目別にみると、特に食料品、交通費(車両購入費含む)、ホテル・レストラン等への上昇が寄与している(図2)。

  2. こうした物価上昇ペースの加速については、一部品目の消費税率引き上げの影響もあるが、通貨リラの下落が、輸入品価格の高騰を通じてもたらした面も大きい。トルコでは13年以降、アメリカにおける量的緩和策の縮小観測、国内における政治情勢の不安定化や経常収支の赤字が続いていること等を嫌気した資金流出を背景に、著しく通貨リラが下落していた(図3、4、5)。加えて、14年1月下旬のアルゼンチン・ペソの急落を契機に、金融市場におけるリスク・オフ姿勢が高まったことから、他の新興国同様リラへの売り圧力が高まり、大幅な通貨下落が観察された。

  3. トルコ中銀は14年1月28日の臨時政策決定会合においてインフレ抑制のためとして、政策金利である一週間物レポレートを+550bpsと大幅な引上げを行い、10.00%としたほか、オーバーナイト金利についてもそれぞれ、借入金利を8.00%、貸出金利を12.00%へ引き上げ、物価上昇率が安定化するまで引締め政策を継続し、必要とあれば追加政策をとる姿勢を示した(図6)。この政策決定会合後、通貨リラは増価傾向で推移しており、足もとでは臨時政策決定会合前(1月27日)と比較して+10.5%、年初対比では+2.6%のリラ高となっている(5月29日時点)。

  4. トルコ中銀は4月公表のインフレーションレポートで、為替動向や食料品の上昇等が今後のインフレ動向へ影響するとして、14年中のインフレ率見通しを7.6%と1%ポイント上方修正した。一方で、消費者ローンの減速や個人消費の弱さがインフレ圧力を和らげる要因となりうるとも指摘。この背景として、銀行資金調達コストの貸出への転嫁や、トルコ銀行規制監督庁が13年12月に制定したクレジットカードに関する規定も一因と考えられる。近年、個人のクレジットカードによる分割払い、及びクレジットカードに係る不良債権比率が高まったことから(図7)、分割払いの下限が引き上げられたほか、収入に応じて利用額の上限が設けられた。

  5. しかし、その後5月22日の政策決定会合でトルコ中銀は、インフレ見通しが改善するまで引締めスタンスを維持すると表明する一方、不確実性の緩和、リスクプレミアムの縮小等により市場金利が低下しているとの理由から、政策金利を50bps引下げ、9.50%へと変更した。議事要旨では、特にアメリカの量的緩和政策に関する不確実性の減少や世界の成長回復を受けたリスクセンチメントの改善、トルコ国内リスクの高まりも手伝って上昇していたリスク指標が、内外不確実性の低下を受けて改善したこと等の背景を挙げている。利下げ後も、リラは安定した推移を続けているが、インフレ率の上昇が続く中での利下げに対して、「中銀の信用を傷つける可能性がある」との指摘も出ている。

  6. トルコでは14年3月30日地方選が行われ与党AKPが勝利したため、短期的には政治の安定化が期待されるものの、14年8月には大統領選挙が、15年6月には総選挙が予定されている。今後の国内政治動向如何によっては市場センチメントを通じた影響や、先進国における金融政策の動向など外部環境変化が再び資金流出圧力となる可能性も残っており、物価上昇率への影響が懸念される。


図1 物価上昇率の推移 図2 項目別物価上昇率 図3 経常収支の推移 図4 非居住者の証券保有高推移 図5 通貨リラの為替動向 図6 政策金利の推移 図7 クレジットカード向け貸出及び不良債権の推移

(備考)

トルコ中央銀行、トルコ統計局、トルコ銀行規制監督庁、ブルームバーグより作成。


問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付
島村 侑子 直通:03-3581-0056

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)