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今週の指標 No.1097 消費税率引上げ後の消費者物価(東京都区部)の動向

ポイント

2014年5月26日

  1. 4月の消費者物価(東京都区部)を「生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合」で見ると、消費税率引上げによる直接の影響(付図1)を除くベースで、その他工業製品や繊維製品などは上昇したものの、耐久消費財や外食は下落し、前月比で横ばいとなった。(図1)。また、前年比で上昇している品目の割合から下落している割合を引いて求めた「物価DI」を見ると、耐久消費財では3月からマイナスに転じ、外食ではプラス幅が3月まで緩やかに拡大した後、4月に大きく縮小した(図2)。本稿では、上昇基調にあった耐久消費財や外食が、このところ下落に転じた要因を考察する。
  2. 耐久消費財については、前月比で3月に下落に転じた9品目のうち、3分の2が4月にも下落している。その一例として、ルームエアコンの指数の推移を見ると、前年よりも2ヶ月早い2月をピークに下落している(図3)。これは、例年は、年末以降、旧製品が売り切れた後に新製品の投入が進み、3月下旬頃に投入のピークを迎えるが、今年は旧製品の売れ行きが良く、ピークを2月に迎えたことが影響していると考えられる(注1)。一方で、一部の品目では、前月比で3月に上昇した後、4月に大きな下落の動きが見られる。1月から3月までに目立った新製品の投入が見られなかった電子レンジでは、駆け込み需要の反動に対応するため、値下げが行われた可能性がある。
  3. 外食については、消費税率引上げを機に、主要商品についてのみ限定的に税込価格の引き下げや据え置き(実質値下げ)を行う企業が見られる(図4)。このような企業の価格戦略は、CPIの調査品目が代表性の観点から選定されていることに鑑みると、CPI上の外食にはマイナスの影響を与えるものの、実態にはそれほど影響を与えないと考えられる。
  4. 以上のとおり、耐久消費財の4月の下落は、新製品投入の前倒しとともに、駆け込み需要の反動による値下げが影響していると考えられ、今後の動向を注視していく必要がある。外食については、消費税率引上げに伴う企業側の一回限り対応と考えられ、今後はこれまでと同様の緩やかな上昇トレンドに収斂していくものと考えられる。

(注1)価格.comにおいて、ルームエアコンの新製品の投入ピークの時期を比較すると、2013年は3月中旬から下旬までである一方、2014年は2月が投入のピークとなっている。また、投入された新製品の価格推移を見ると、いずれの製品も、投入直後をピークとして継続的に価格が下落している。


図1:消費者物価(東京都区部)の推移、図2:物価DI(東京都区部)の推移、図3:ルームエアコン・電子レンジの推移、図4:消費税率引上げに伴う値下げの動き(外食)

(備考)

  1. 総務省「消費者物価指数」、価格.comにより作成。
  2. 消費者物価(コアコア)は、「生鮮食品を除く総合」(いわゆるコア)から、石油製品、電気代、ガス代及びその他特殊要因(米類、鶏卵、切り花、診療代、固定電話通信料、介護料、たばこ、公立高校授業料、私立高校授業料)を除いたもの。
  3. 耐久消費財、その他工業製品は、内閣府による分類。
  4. 消費者物価(コアコア)、耐久消費財、外食、繊維製品、その他工業製品の指数は、内閣府試算の季節調整値。ルームエアコン、電子レンジの指数は原数値。
  5. 価格.comのルームエアコンは、2014年2月に投入された新製品のうち、CPI採用のルームエアコンの性能に比較的近い東芝「大清快 RAS-281GR」を採用。また、価格については月末時点の調査販売店の平均価格を採用。
  6. 物価DIにおいて、2014年4月に、公共料金がマイナスに転じているのは、これまで一年以上横ばいが続いていた鉄道の運賃・定期関連の6品目が下落に転じていることが影響していると考えられる。これらの品目は、消費税率引上げに伴い、現金運賃や定期を10円単位で改定しており、四捨五入の関係で切り下げとなっているものが多いと考えられる。特に、運賃については、1円単位で改定しているICカード運賃と10円単位で改定している現金運賃のうちの安い方を指数に反映していることが影響していると考えられる。


付図1:消費税率引上げの影響(内閣府試算)

(備考)

  1. 総務省「消費者物価指数」により作成。
  2. 消費税率引上げの影響は、電気代等の経過措置適用品目により4月と5月で数値が異なる。
  3. 上記の試算は、非課税・不課税品目や経過措置適用品目、当該月に調査しない季節品目を除き、その他品目について消費税率引上げ分が完全に転嫁された場合の影響を機械的に試算したもの。なお、内閣府試算と日銀試算(金融経済月報(2014年3月))では、経過措置適用品目の取り扱いや季節品目の取り扱いが異なるため、数値が若干異なる。

問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付
紙谷 有紀 直通:03-3581-9516

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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