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今週の指標 No.1088 国内供給能力の制約と鉱工業生産

ポイント

2014年1月27日

  1.  実質GDPはリーマンショック前の水準を取り戻したが、鉱工業生産の水準は未だ回復し切っていない。その背景として、2008年以降に海外への生産移管が進み、国内での供給能力に制約が生じていることを挙げる見方もある。こうした供給制約によって鉱工業生産の伸びが抑制される可能性があるかどうか検討してみよう。

  2.  2013年第3四半期の製造業の生産能力は、2008年第3四半期と比べて5.0%減少しており、幅広い業種で減少した(図1)。このうち、特に海外への生産移管が進んでいる電気機械関係(電子部品・デバイス、電気機械、情報通信機械)に着目すると、電子部品・デバイスでは生産能力が増加しているのに対して、電気機械では平均的に減少し、情報通信機械では顕著に減少している。このように、業種によって生産能力の増減に差異が生じている。

  3.  こうした差異の背景を探るため、電気機械関係の品目を家庭用電気製品と業務用電気製品に分類して(備考参照)、生産能力及び稼働率の変化を見てみよう(図1)。業務用は生産能力が増加している一方、稼働率は低下しており、供給余力は大きいと見られる。家庭用は生産能力が大幅に減少しているものの、これは一部の品目に集中している可能性が高く、全体として稼働率が低下していることから考えると、こちらも必ずしも供給制約があるとも言い切れないだろう。

  4.  これを更に詳細に検討するため、品目別に見よう。ただし、品目別の生産能力は公表されていないため、生産指数の動きから供給制約があるかどうかを推測してみよう(図2)。家庭用電気製品では、薄型テレビやデジタルカメラで2011年から国内生産が急激に減少し、景気が回復している2013年初以降も低水準にとどまった。これらの品目では、2008年以降の円高を背景とした急速な海外生産移管により、生産能力が減少して、供給制約が生じている可能性がある。
     他方、家庭用のうちセパレート形エアコンや電気冷蔵庫、また業務用電気製品におけるスマートフォン向け電子部品やデスクトップ型コンピュータなどでは、2013年初からの景気回復を受けて、緩やかに増加している。これらの品目では、未だ稼働率を引き上げる余力があり、供給制約が生産の増加を抑制しているとは考えにくい。
     また、このところの円安により、一部のメーカーでは国内への生産回帰の動きも見られる(表)。

  5.  以上のように電気機械関係では、海外への生産移管を急速に進めた一部の品目の影響で生産能力が低下しているものの、依然として国内生産を維持している品目も多く、後者については稼働率を引き上げて増産する余地があると考えられる。したがって、国内供給能力の制約により鉱工業生産の伸びが抑制されているとは必ずしも言えないだろう。


図1:リーマンショック後の生産能力・生産・稼働率の変化率

図2:品目別生産の推移

表:円安による国内生産回帰の動き(報道)


(備考)

1.経済産業省「鉱工業指数」により作成(図1・2)。
2.生産の家庭用電気製品は、民生用電気機械と民生用電子機械の加重平均値(図1)。
3.業務用電気製品は、電子部品・デバイス工業、電気機械工業、情報通信機械工業の加重平均値から、家庭用電気製品を除いた指数(図1)。
4.表の2列目は、生産移管又は国内生産比率引上げの時期。


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