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今週の指標 No.1074 製造業における価格転嫁の状況

ポイント

2013年7月22日

  1. 2012年秋から為替が円安方向へと動く中で、輸入物価の上昇が販売価格に十分転嫁されず、企業収益を圧迫しているとの指摘がある。輸入物価の上昇は、直近では2010年から2011年にかけての資源高の際にもみられた(図1)。そこで、「投入・産出物価指数」を用いて、製造業における価格転嫁の状況を、2010~11年と2012年秋以降の対比でみてみる。
  2. 産出物価の変化は、「投入物価要因」と、利潤や賃金などの変化による「付加価値要因」の合計で表すことができる(図2)(注1)。2010~11年の資源高局面では、投入物価の上昇に対して産出物価の上昇は小さく、付加価値が圧迫されていた。他方、2012年秋以降の円安局面では、投入物価の上昇と歩調を合わせて産出物価が上昇し、付加価値の圧迫はみられない。これは、前回局面では、資源高により輸入物価が上昇する中で輸出物価の下落が続いたのに対して(図1)、今回の局面では、円安により輸入物価とともに輸出物価も上昇し、産出物価が押し上げられているためと考えられる。
  3. この点を業種別に確認しよう。原料の輸入比率の高い素材業種では、2010~11年、2012年秋以降ともに投入物価の上昇が産出物価の上昇を上回り、付加価値が圧迫されている(図3(1))。他方、加工業種では、両期間とも投入物価が緩やかに上昇する中で、2010~11年は産出物価が下落したのに対して、2012年秋以降は産出物価が上向き、両期間で転嫁状況は大きく異なる(図3(2))。さらに、加工業種の中で詳しくみると、輸出品を多く含む輸送機械で産出物価の上昇が大きい一方(図3(3))、専ら国内向けの飲食料品では投入物価の転嫁が進んでいない(図3(4))。こうしたことから、最近の円安方向の動きは、1輸出業種の収益環境を大きく改善すると同時に、素材業種や飲食料品では収益の圧迫要因となっている、2製造業全体で見ると投入物価の上昇は産出物価に転嫁されており収益環境は改善している、ことがわかる。
  4. なお、ここで求めた付加価値要因と、「付加価値の価格」を示すGDPデフレーターの間には、明確な連動が確認できる(図4)。この関係からは、製造業のGDPデフレーターは前年比ゼロ近傍まで改善していることが示唆される。すなわち、製造業において投入価格の上昇が産出価格に適切に転嫁され、付加価値の圧迫が解消されることにより、GDPデフレーターの下落幅の縮小に寄与することが期待される(注2)。
 (注1) 詳細は付注参照。
 (注2) 我が国のGDPに占める製造業の比率は2割程度であり、GDPデフレーター全体は他の要因の影響も受けることに留意が必要。

図1・図2 図3 図4 付注

問合せ先

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付
 市橋 寛久 直通:03-3581-9516

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