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今週の指標 No.1039 キプロス財政の現状について

ポイント

2012年7月30日

  1. 東地中海に位置するキプロス共和国 (以下キプロス)は2012年6月25日、EUに対し金融支援を要請し、現在トロイカにより、支援の前提となるべき財政状況について審査が行われているところである。支援の具体的な条件については、同審査等を踏まえた上で決定されることとなる。
  2. 今回キプロスが金融支援を受けるに至った背景には、欧州政府債務危機、特にギリシャの債務再編の影響を受け、キプロスの金融機関のバランスシートが毀損し、バーゼルⅢに定める自己資本比率を達成するために多額の資本注入が必要となったという事がある。なお、不良債権額や資本注入の必要な額については現時点では必ずしも明らかではないが、金融機関の総資産がキプロスのGDPの7倍以上にのぼる巨額(図1)であることを鑑みると、相当額に上ると推察される。
  3. 一方、財政状況を見ると、2009年以降赤字を抱えてはいるものの、これはリーマンショックの影響に加え、2011年のナヴァル海軍基地の爆発事故により生じた国内最大級の発電所の破損に伴う経済的な負担によるものであり、既に支援国となっているギリシャとは異なり、恒常的な赤字を抱えているという状況ではない。加えて、租税負担率についてもユーロ圏平均と比較して低い状況であり(図2)、2011年12月にはVATを15%から17%に引上げるなどの歳入強化に向けた取組を進めており、引き続き歳入増の余地があると予測される。
  4. 以上を踏まえれば、キプロス財政は金融支援を受け、不良債権処理が完了すれば、持続可能な状態に復帰するものと期待される。ただし、国内産業で大きな割合を占める金融業は、かつてタックスヘイブンとなっていた影響で発達した側面もあり、中長期的に市場からの信認を確保するためには、補助金政策の見直し等を通じ、効率的な産業構造に転換する必要があるだろう。

図1 金融機関のバランスシートGDP比 図2 キプロスの租税負担率 図3 キプロス財政の現状

(注)
  1. キプロスのユーロ圏に占めるGDPシェアは0.2%(2011年時点)。金融業、観光業などのサービス業が産業の中心を占める。

問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付
加藤 翔一 直通:03-3581-0056

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