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今週の指標 No.1037 スペイン:住宅バブル崩壊の後遺症に苦しむスペイン経済の現状と支援要請までの経緯

ポイント

2012年7月2日

  1. ユーロ圏第4の経済規模を誇るスペインでは、住宅バブル崩壊によって不動産資産の不良債権化が進み金融機関の経営難が顕在化した。こうした中、6月25日、スペイン政府はユーロ圏財務相会合(ユーログループ)に対して金融システム支援のための資金要請を行い、今後の同国の行方について市場の関心が一層高まっている。以下では、住宅バブル崩壊の後遺症に苦しむスペイン経済の現状を概観し、支援要請に至る経緯をみていく。
  2. スペインの実質GDPは、住宅バブル崩壊の後遺症による個人消費や固定投資といった内需の弱さから、11年10~12月期から2四半期連続のマイナス成長となった。特に固定投資はバブル崩壊後、一貫して減少し、12年1~3月期にはバブル崩壊前の水準に比べ約3割も落ち込んでいる(図1)。
  3. こうした国内経済の低迷から、税収が伸び悩むとともに失業者数の増加に伴う公的給付の増加等が中央・地方政府の財政に重くのしかかり、同国の一般政府累積債務残高対GDP比は07年末時点の36.3%から12年3月末時点の72.1%へ急速に拡大している(図2)。
  4. 住宅価格の継続的な下落により、旧貯蓄銀行を中心にスペイン金融機関の不良債権比率は上昇した(図3)。スペイン政府は本年2月と5月に不動産資産に対する債権の引当率の引き上げやFROB(銀行再建基金)の増資といった金融強化策を相次いで打ち出した。しかし、国内銀行の資金調達環境はますます厳しい状況となっている。5月末に巨額の不良債権を抱えるスペインの大手銀行が同国政府に対し190億ユーロの資金支援要請を行い、6月に入ってからは不良債権の高まり等を理由に大手格付会社による同国債、銀行の相次ぐ格下げが行われた。
  5. 以上の状況に対応するため、スペイン政府は、同国金融セクターがストレスシナリオ下では510~620億ユーロの追加資本が必要になるとの外部監査の結果報告を受けた後、6月25日、ユーログループへ正式に金融システム支援のための資金要請を行った。なお、融資条件や融資額等の詳細は7月9日のユーログループまでにスペイン政府と欧州委員会等で詰めの協議が行われることとなっている(注)。但し、同国の10年物債利回りがいわゆる危険水準である7%を上回る場面もある等(図4)、スペインの財政や金融機関の健全性に対する金融資本市場の懸念は依然として払拭されておらず、引き続き注視していく必要がある。

図1 スペインの実質GDP、個人消費、固定投資 図2 スペインの一般政府累積債務残高 図3 スペインの住宅価格と金融機関の不良債権比率 図4 スペインの10年債利回り

(注)

  1. 6月9日、ユーログループは、金融機関の資本増強のためにスペイン政府へ最大1,000億ユーロの融資を行う用意があるとの声明を発表していた。
問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付
柿澤 佑一朗 直通:03-3581-0056

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