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今週の指標 No.1033 国際金融:各国の国債イールドカーブが示す現在の金利環境の変化の可能性

ポイント

2012年6月4日

  1. リーマンショック以降、各国(ここではアメリカ、ドイツ、英国、日本のことを指す。以下、同じ。)の国債の利回り(10年物)は低下傾向にある(図1)。利回りの変化には多くの要因があると思われるが、ここでは、各国の国債利回りに織り込まれる現在の経済成長率、物価上昇率見通しの違いから、今後の金利環境の変化の可能性について見ていく。
  2. 各国の国債利回りを比較すると、年限によって差異があることが分かる(図2、3)。まず、中期ゾーン(5年)の各国国債の利回りの水準を見ると、日本、ドイツ及び英国については、各国の政策金利と同程度である。一方で、米国は、現在の政策金利が0~0.25%であるのに対して、5年物の国債利回りが0.76%となっており、今後5年間でFRBによる約0.50%の利上げが織り込まれていることになる。
  3. 次に、長期ゾーン(10年)の各国国債の利回り水準を見ると、日本が最も低く、次いでドイツ、さらに米国と英国が同程度となっている。この違いは、各国の国債市場が織り込んでいる将来の経済成長率及び物価上昇率の見通しの差によると考えられる。欧米各国の中で最も金利水準の低いドイツについては、欧州政府債務問題に直接影響を受ける国であり、ユーロ圏全体の経済動向や問題国の救済負担がドイツ経済にとってマイナスに捉えられていることが要因の一つとして考えられる。一方で、米国及び英国については、欧州政府債務問題の関係国ではないこともあり、欧州政府債務問題が同国の期待成長率を押し下げるとは見られていないと考えることができる。また、期待インフレ率が依然として2%を上回る水準で推移していることも影響していると見られる(図4)。日本については、期待成長率や期待インフレ率が低いことにより、金利は低水準で安定している。なお、今年に入ってから、日本の期待インフレ率は消費税引上げを織り込みプラスに転じているものの、実際の日本国債の利回りは上昇せずに、むしろ低下している。
  4. このように、中期ゾーン、長期ゾーンにおいて各国の国債利回りに織り込まれていると推測される各国の期待成長率及び期待インフレ率には差異がある。しかしながら、金融資本市場を通じた欧州政府債務問題の波及に見られるように、各国の経済の連動性は強まっている。欧州政府債務問題がなかなか解決しないと考えられる現在の状況においては、各国の中央銀行による超低金利政策は当面続くと考えられ、5年以内の利上げが織り込まれている米国中期ゾーンの国債利回りは、利上げ期待の剥落から、金利低下余地があると考えられる。また、同じく欧州経済との連動性の観点から、米国及び英国の期待成長率にも低下余地があり、これが米国及び英国の長期ゾーンの国債利回りの低下要因となって、各国の国債市場は収斂傾向がより鮮明になってくる可能性が高いと考えている。

図1 各国の10年物国債利回り 図2 日米の国債のイールドカーブ 図3 独英の国債のイールドカーブ 図4 各国の期待インフレ率(10年物)の推移

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