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今週の指標 No.1032 2012年1-3月期のGDPギャップは改善

ポイント

2012年5月28日

  1. 2012年1-3月期のGDPギャップ(注1)は、実績のGDPが前期比年率+4.1%増の高い伸びとなったことを受け、▲2.2%と2011年10-12月期(▲3.0%)から縮小する結果となった(図1)。また、2011年10-12月期の実績値が上方改定されたことにより、10-12月期のGDPギャップは+0.4%改善している(表)。

  2. 震災による潜在GDPの調整が一巡したので、この機会に潜在資本・労働投入について簡単に整理しておきたい。まず、潜在資本投入に関しては、東日本大震災によるサプライチェーンの寸断等により生産能力の発現が阻害されたと解し、潜在稼働率の調整を行っている(図2)。また、今回の2012年1-3月期の潜在稼働率については、2011年I~IV期を欠損値として、通常通りの推計(短観の生産・営業設備判断DIで回帰)を行った。

  3. 一方、潜在労働投入に関しては、震災による調整は行っていない。潜在労働投入は、「潜在労働時間(注2)×15歳以上人口×トレンド労働力率×(1-構造失業率)」と定義している。構造失業率はUV分析による雇用失業率と欠員率の関係を推計し、シフト要因として「離職率」、「非常用雇用比率」を使用している(図3)。離職率や非常用雇用比率の増加は雇用の流動化を引き起し、労働市場のマッチング機能に負荷をかけると考えられるためである(注3)。

  4. 潜在稼働率に震災の影響を調整した結果、2011年における潜在GDPは大きく変動する結果となっている(図4)。このため、この動きをもって趨勢的な成長力として潜在GDPとみるのは適切ではない。ただ、震災前のトレンドで延伸した潜在GDPの値と2012年I期の値はほぼ等しいこともあり、2011年の趨勢的な潜在成長率は2010年の値とそれほど大きな変化はなかったと見られる。

(注1)GDPギャップ=(実際のGDP-潜在GDP)/潜在GDP。ここで用いている潜在GDPとは、「経済の過去のトレンドからみて平均的な水準で生産要素を投入した時に実現可能なGDP」と定義しているが、2011年I~IV期においては震災による供給制約を加味した調整を行っている。推計方法の詳細は、「今週の指標No1026」及び内閣府「日本経済2011~2012」の付注1-6を参照。なお、GDPギャップの水準については、定義や前提となるデータ、推計方法によって異なるため、相当の幅をもってみる必要がある。

(注2)毎月勤労統計における「総実労働時間」(30人以上の事業所)をHPフィルターにより平滑化したもの。ただし、季節調整については、曜日・閏年を調整したものを今回より使用している。

(注3)非常用雇用比率とは、「雇用契約期間が一年以下の者の割合」を指すため、より広義に雇用の流動化を考慮した「非正規雇用比率」の概念とは異なるものだが、データの制約上こちらで代用している。


図1 GDPギャップの推移 表 GDPギャップの推移 図2 潜在稼働率(製造業)の推移 図3 構造失業率の推計 図4 成長経路の変化
問合せ先
参事官(経済財政分析-総括担当)付
小寺 信也 直通:03-3581-9516

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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