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今週の指標 No.1026 SNA基準改定後のGDPギャップ

ポイント

2012年3月19日

  1. 2011年10~12月期のGDPギャップ(注1)は、潜在GDPが回復する一方、現実GDPは減少したため、▲3.4%と7-9月期(▲3.0%)から拡大する結果となった(表)。

  2. 今回、GDPギャップを試算するにあたり、以下のように算出方法の改定を行った。
    1. 1993年以前のGDPの接続:2011年12月にSNAが平成17年(以下、H17年)基準へと移行し、計数の改定や推計方法の見直しが行われ、GDPのプロファイルも遡及改訂された。基準改定後のGDP四半期速報の公表系列は94年Ⅰ期からのため、93年以前は94~98年の平均乖離率(=H17年基準/H12年基準)を用いて、旧基準と新基準を接続した(図1)。
    2. 資本ストックの調整:H17年基準改定による公的企業の格付け変更(注2)を受け、新たに公的企業に分類された企業の資本ストックを民間企業資本ストック統計に加える調整を施した(図2)。
    3. 非製造業の稼働率:従来は、製造工業の稼働率と資本ストックを用いた計算上稼働率(=鉱工業生産指数/資本ストック)の関係を非製造業(指数は第3次産業活動指数を使用)に準用していた。今回から、第3次産業活動指数の潜在活動指数を算出して求める方法に変更した(注3)(図3)。
    4. 潜在労働時間:毎月勤労統計の総実労働時間(30人以上の事業所)をHPフィルターにより平準化したものを使用する点は変わらないが、リーマンショック後の実績値の大幅な落ち込み期間(2009年Ⅰ~Ⅳ期)の影響を排除する方法を変更した。前回までは、リーマンショック前のトレンドをAR過程で延伸していたが、今回からは、上記の期間を外れ値とみなして補完し、予測値(OECDのEconomic Outlookを利用)を含めた系列にHPフィルター処理を施して求めた(注4)(図4)。

  3. 以上の改定・変更を反映したGDPギャップを従前のものと比較すると、1980年~90年代前半では下方改定、90年代後半から2000年代前半では上方改定されており、ギャップの幅が上下ともに縮小する結果となった(図5)。これは主に非製造業の稼働率の振れ幅が小さくなったためである。また、2010年のギャップ縮小は、基準改定・季節調整替等により、現実GDPが前回より上方改定されたことが要因と考えられる(図6)。

(注1)GDPギャップ=(現実のGDP-潜在GDP)/潜在GDP。今回の改定に加え、東日本大震災の影響を捉えるための稼働率調整を従前通り行っている。10-12月期は、大震災によるサプライチェーン寸断の影響が解消され、潜在稼働率上昇の効果が潜在GDPの推計結果に表れることになる。その他の推計方法の詳細は、内閣府「日本経済2011~2012」の付注1-6を参照。なお、GDPギャップの水準については、定義や前提となるデータ、推計方法によって異なるため、相当の幅をもってみる必要がある。

(注2)政府関係諸機関の分類(格付け)の基準を、国際基準に準ずる変更を行ったため、例えば平成12年基準では民間企業だったJT、NTT東日本・西日本、JR系(北海道・四国・九州・貨物)、東京メトロ、成田空港、関西空港等が公的企業に分類変更されている。

(注3)試算にあたっては、経済産業省「(試算値)第3次産業活動能力・稼働率指数」を参考に、ウォートン・スクール手法にて計算した。ウォートン・スクール手法とは、ピークとピークを直線で結び、その線上の値を活動能力とみなす手法であり、ピークについては、第3次産業活動指数(原数値)のある時点の指数値が前後12カ月のうち最大の場合をピーク値と定義した。この手法により算出した活動能力(暫定)を被説明変数として、第3次産業活動指数(季節調整値)と非製造業所定外労働時間(毎月勤労統計、30人以上の事業所)で回帰し、求められた計数を用いて、潜在的な活動能力を算出した。なお、稼働率については、第3次産業活動指数(季節調整済)を、上記で求められた潜在的な活動能力で除して算出している。

(注4)予測値を追加してHPフィルター処理をしているのは、端点の歪みを緩和する狙いがある。


表 図1 図2 図3 図4 図5 図6
問合せ先
参事官(経済財政分析-総括担当)付
小寺 信也 直通:03-3581-9516

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