内閣府 Cabinet Office, Government of Japan

内閣府ホーム  >  今週の指標  >  今週の指標 No.1022

今週の指標 No.1022 形態別にみた設備投資の動向

ポイント

2012年2月6日

  1. 足下の設備投資動向を国民経済計算で確認すると、実質設備投資は2010年10-12月期以降、4四半期連続で減少している(図表1)。GDP統計は、総合的な設備投資動向を把握することが可能である一方、四半期統計であるため、速報性に欠ける。本稿では、便宜的に供給側統計を中心とした月次統計を利用することで、東日本大震災以降、足下にかけての設備投資動向を分析・検討する。

  2. 分析の前段として、国民経済計算平成22年度確報の固定資本マトリックスを用いて、民間企業設備の形態別内訳(名目ベース)を確認すると、最も大きな割合を占めるのは「その他の機械設備等」で、その割合は46.9%となっている。2番目に割合が大きいのは「住宅以外の建物及び構築物」(25.6%)であり、以下、「輸送用機械」(13.9%)、「コンピューターソフトウェア」(13.6%)となっている(図表2)(注1)。

  3. まず、割合が最も大きい機械設備の動向を、資本財出荷(除く輸送機械)で確認する(注2)。東日本大震災の影響により、2011年3月には過去最大の下落となったが、4月以降速やかに持ち直し、6月には震災前の水準を回復した。しかし夏場以降、復旧・復興需要により建設用は好調を維持しているものの、電力用で反動減がみられること、輸出の減速による投資意欲の停滞で製造設備用が弱含んでいることから、資本財出荷全体としては減速傾向にある。(図表3(2))。なお、機械設備投資の先行きに関しては、先行指数である機械受注に照らすと、横ばい圏で推移するとみられる(図表4)。

  4. 次に、輸送用機械について、資本財出荷のうち輸送用の動向を確認する。東日本大震災により自動車向けマイコン工場が被災したことによる部品不足から3、4月に大きく落ち込んだものの、サプライチェーンの立て直しに伴い急速に回復し、7-9月期には設備投資全体を大幅に押し上げた(図表5(1))。10-12月期は、タイの洪水の影響もあり前期からは減速したものの、2四半期連続の増加となった。先行きに関しても、12月10日に閣議決定された税制改正大綱には、エコカー補助金の一部復活・エコカー減税の一部延長が含まれたため、当面底堅く推移するものと考えられる(図表5(2))。

  5. 建物及び構築物に関して、経済産業省が公表している全産業供給指数で確認すると、建設投資は東日本大震災により大幅に減少し、その後の持ち直しは緩やかなものとなっている。これをさらに、建築と土木に分けてみると、建築に関しては震災前の水準を回復し、堅調に推移している(図表6(1))。先行指標である着工床面積はおおむね横ばいとなっていることから、建築に関しては横ばい傾向となるとみられる(図表6(2))。一方、土木は震災による落ち込み以降、ほとんど改善せず低水準で推移しており、復旧・復興需要等から今後の持ち直しが期待される。

  6. 最後に、ソフトウェア投資に関してみる。ソフトウェア業の売上はおおむね横ばいで推移してきたが、10月、11月と2か月連続で前年を上回り、足下で改善の兆しがみられる(図表7)。ソフトウェア投資は景気に遅行することで知られるが、ソフトウェア投資と、企業の利益の関係をみると(図表8)、経常利益に対して6四半期後の相関係数が最も高い(注3)。足下のソフトウェア投資改善の兆しは、リーマンショックからの収益の改善に遅行したものである可能性があり、今後の動向を注視していく必要がある。

  7. 全体を総括すると、主力の機械投資は減速傾向にあり、先行きも横這い圏での推移となる見込みだが、政策効果による輸送用機械の押し上げ、改善が遅れている土木を中心とした建設投資の持ち直し等から、設備投資全体としては増加余地があるとみられる。

(注1)ここでの形態別分類は、四半期GDP速報の分類に基づく。詳細は図表2の備考を参照。

(注2)資本財出荷は、輸出向けを含み、輸入を含んでいないため、厳密には設備投資と概念が異なる。輸出入を調整し、設備投資の概念に近づけた資本財国内総供給が経済産業省から公表されているが、詳細な内訳が公表されていないため、ここでは内訳が利用可能な資本財出荷を用いた。

(注3)ここでの経常利益には金融業が含まれていない。固定資本マトリックスによるとソフトウェア投資の2割程度を金融業が占めているため、相関係数が低く出ている可能性には留意が必要。


図1 実質設備投資の推移 図2 形態別民間企業設備 図3 資本財出荷の動向 図4 機械受注と資本財出荷 図5 輸送用機械の動向 図6 住宅以外の建物・構築物の推移 図7 ソフトウェア投資の動向 図8 ソフトウェア投資と利益の関係
問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付
橋本 政彦 直通:03-3581-0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)