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今週の指標 No.1020 輸出の動向

ポイント

2012年1月23日

  1. 輸出数量指数(季節調整済、対世界)は、東日本大震災(以下、震災)による減少後、持ち直しの動きが続いていたが、10月から3か月移動平均で減少に転じている(図1)。本稿では、いかなる要因でこのような輸出の鈍化が生じているのかを検討・整理する。
  2. まず、輸出数量全体の動きを概観すると、欧州金融不安の影響を受けたEU向けの急激な減少、中国における市況の悪化による中国向けの減少、円高の影響、タイの洪水被害の影響によるASEAN向けの減少が大きく寄与し、減少に転じている。その他の地域についても、NIES向けは、世界的な半導体需要の低迷により、昨年初頭から継続的に減少しているとともに、アメリカ向けも、震災後の自動車やデジカメ輸出の回復が一段落したこと等により、減少傾向となっている。このように、世界経済の減速を主な背景として、いずれの地域向けについても、輸出数量が鈍化してきているのが現状である。
    以下、地域別に詳しく整理する。
  3. まず、アジア向けについては、震災後、増加に寄与してきた中国向けが10月に横ばい、11月に減少しており、NIES向けは継続的に減少に寄与している。ASEANは、継続的に増加に寄与してきたが、10月・11月はタイの洪水の影響で減少に寄与している。(図2)
  4. 中国向けについて品目別にみると、一般機械が継続的に減少しているとともに、震災以降の輸送用機械の増勢が鈍化したことによって、弱含んでいる(11月は大幅に減少)(図3)。一般機械は、中国の生産の鈍化(図4上図)等の市況の悪化が影響していると考えられる。輸送用機械の動きは、震災後の自動車生産の回復が一段落したこと、中国の小型低燃費車の購入補助金支給要件の厳格化(本年10月)等が背景として考えられる(図4下図)。また、化学や鉄鋼についても、円高の影響等により低調である。
  5. NIES向けについて品目別にみると、電気機械、化学製品、一般機械の減少により、継続的な減少を続けている(図5、6)。最近では、特に一般機械が減少しているところ、これは半導体等製造装置の減少が主な要因である。この他、減少に寄与している品目は、半導体等電子部品等であることから、世界的な半導体需要の低迷が背景にあると考えられる(図7)。
  6. ASEAN向けは、これまで継続的に増加してきたが、タイの洪水の影響により、10月から大幅に減少している。品目別寄与度をみると、10月は主に輸送用機械と一般機械が減少に寄与しており(図8)、11月は主に鉄鋼が減少に寄与している。輸送用機械は、10月に一時的な船舶の減少があったものの、自動車部分品の減少が主な要因である。また、一般機械は自動車用エンジン等の原動機の減少が主な要因である。以上から、いずれも自動車関連の品目が減少幅の大半を占めると考えられる。
    そのため、11月の半ばからタイの日系自動車メーカーの多くが生産を再開していることからは、12月以降は回復に転じていく可能性が高いと考えられる。
  7. アメリカ向けは、輸送用機械の増加幅の縮小等により、減少に転じている(図9)。これは、震災後に急落した自動車輸出の回復が7月をピークに一段落したことが主な要因である。一般機械や電気機械も鈍化しており、これらについてはアメリカ経済の今後の動向を注視する必要がある。
  8. EU向けは、急激に減少してきている(図10)。一般機械と電気機械が減少に転じている上に、震災後に増加してきた自動車輸出が横ばいとなった。一般機械や電気機械は、EUの生産と相関があるところ(一般機械の相関係数:0.6、電気機械:0.4)、欧州金融不安の影響でEUの生産が9月ころから減少してきており(図11)、そのための設備や部品関連の輸出が減少していると考えられる。
  9. 以上のように、どの地域向けについても、輸出数量は鈍化してきており、いずれも世界経済の回復が弱まっていることが背景にあると考えられる。今後は、欧州及びアメリカの実体経済の動向、世界的な半導体の需要動向等に、特に留意していく必要があると考えられる。

図1 輸出数量指数(季節調整)の推移と地域別内訳 図2 アジア向け輸出数量指数(季節調整)と地域別内訳 図3 中国向け輸出数量指数の品目別寄与度) 図4 中国の鉱工業生産(上図)と乗用車販売(下図)の推移 図5 NIES向け輸出数量指数の品目別寄与度 図6 日本の半導体等製造装置等の輸出数量指数(季節調整、2005=100) 図7 半導体の世界市場の動向 図8 ASEAN向け輸出数量指数の品目別寄与度 図9 アメリカ向け輸出数量指数の品目別寄与度 図10 EU向け輸出数量指数の品目別寄与度 図11 EU域内の生産動向(指数)

(備考)

  1. (図1)財務省「貿易統計」により作成。以下、特段の記載がない場合は同じ。   「その他」とは、全体の前月比と各地域の寄与度の差分をとったもの。全体及び各地域はそれぞれ別個に季節調整をかけているため、「その他」には季節調整による誤差も含まれている。(以下同じ))
  2. (図4)中国国家統計局、中国海関総署により作成。
  3. (図7)SIA"Historical Billing Reports"により作成。数値は、3か月移動平均の原数値。前年同月比は、3か月移動平均原数値のもの。
  4. (図11)CEICにより作成。

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担当:参事官(経済財政分析ー総括担当)付
國峯 孝祐 直通:03-3581-9527

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