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今週の指標 No.1017 東日本大震災からの復旧・復興に伴い増加が期待される公共投資

ポイント

2011年11月28日

  1.  東日本大震災からの災害復旧のため、国及び地方公共団体では、累次の補正予算が組まれている。公共事業関係費予算は1998年度以降減少傾向が続いているが、今回の補正予算を受けて、前年度からの増加が見込まれている。以下、補正予算の成立状況の推移を確認し、岩手県・宮城県・福島県(以下「被災3県」という。)における災害復旧工事が全国の公共工事にどの程度寄与しているかについて、公共工事請負金額により確認する。
  2.  まず、災害復旧関係の補正予算の成立状況であるが、国の補正予算については、総額2兆8,429億円の公共事業関係費が組まれている(表1)。平成23年度当初予算における公共事業関係費は4兆9,743億円であるので、当初予算比は57.1%の増加となる。被災3県の補正予算については、国の補正予算の成立も受けて、順次成立している。震災8か月後の時点における普通建設事業費及び災害復旧事業費等の補正予算は、総額1兆366億円(国の補助事業を含む。)となっている(図1)。平成23年度当初予算における普通建設事業費及び災害復旧事業費は3,246億円であるので、当初予算比は319.4%の大幅増となる。
     また、国と地方公共団体の補正予算の関係を踏まえると、国の第一次補正予算では公共事業関係費1.2兆円が組まれたが、このうち0.9兆円は国から地方公共団体へ補助されるため、地方公共団体は、自身の財源(交付金等)の0.4兆円を合わせて災害復旧を行う。そのため、国の補正予算に地方公共団体の財源を合わせた1.6兆円が、事業費総額となる。
  3.  次に、補正予算の執行状況について、公共工事前払金保証統計(以下「請負統計」という。)から推測する。
     前払金保証とは、建設企業が公共工事の発注者から請負代金の一部(通常、請負金額の40%以内)を着工資金として受け取るために必要な保証である。請負統計は、この前払金保証実績から公共工事の発注動向を把握するために作成されており、国と地方公共団体の公共事業等に対するカバー率が約70%と高い。
     請負統計における被災3県の状況を見ると、当初予定されていた災害復旧以外の工事(新設、維持補修)が先送りされて減少したこともあって、当初は累計額ベースで前年比マイナスが続いたが、10月に前年を上回った(図2)。第一次補正予算成立が5月であっても急増しなかった背景には、通常の数倍にも及ぶ公共事業の契約事務を担当する職員が不足していることや、土木・建築工事の前段階に実施される測量・設計の契約金額が高くないことから、増加割合が緩やかとなること等が考えられる。
  4.  さらに、請負統計を用いて、被災3県の災害復旧工事が全国の公共工事をどの程度押し上げているかを確認する。全国総額の累計の前年同月比への寄与度をみると、被災3県の災害復旧分による押し上げ効果は3月以降、徐々に増加し続け、10月には大規模工事の契約分が反映されたこともあり、2.9%と高い寄与度となっている(図3)。
  5.  このように、東日本大震災からの災害復旧に伴う公共投資の増加は未だ限定的と考えられるが、足元では、増加の兆しがみられる。岩手県や宮城県を始めとして、被災自治体では順次復興計画が策定されており、今後は、補正予算の執行が本格化し、復旧・復興の動きが加速することが期待される。また、1998年度以降減少傾向が続いてきた公共事業であったが、東日本大震災を受けて、全国的に建物等の耐震化に対する意識が高まると共に、社会資本の重要性が再認識されていることから、被災自治体以外の平成24年度の公共事業関係費予算の動向にも注視する必要がある。

表1 国の平成23年度補正予算における公共事業関係費 図1 被災3県の補正予算成立の推移(普通建設事業費及び災害復旧事業費) 図2 被災3県の公共工事請負金額(累計)の推移 図3 全国の公共工事請負金額総額(累計)への被災3県の災害復旧工事分の寄与

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