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今週の指標 No.1016 震災後GDPギャップは横ばい圏内で推移

ポイント

2011年11月21日

  1. 2011年7-9月期の1次QEを踏まえた直近のGDPギャップ(注)の値は▲3.5%となり、4-6月期(▲3.5%)から横ばいで推移する結果となった(図1)。横ばいの推移となった理由は、潜在GDPの変化と現実GDPの変化が概ね同程度だったためである(図2)。なお、4-6月期のGDPギャップ幅が、前回2次QE後の試算値より縮小しているが、これはQEが上方に改訂されたためである(表)。

  2. ここでの潜在GDPは「経済の過去のトレンドから見て平均的な水準で生産要素を投入した時に実現可能なGDP」と定義している。具体的には、コブ・ダブラス型の生産関数を想定し、潜在資本投入量、潜在労働投入量、全要素生産性(ソロー残差)を関数に代入して試算する。潜在資本投入量は(潜在資本ストック×潜在稼働率)、潜在労働投入量は(潜在就業者数×潜在労働時間)により算出する。

  3. ただし、東日本大震災後、潜在GDPの推計にあたっては、震災による供給制約等を明示的に考慮するため、経済産業省「東日本大震災後の産業実態緊急調査2」から製造業の潜在稼働率の回復動向を仮定した。その後、月次統計の進捗状況で妥当性を検証している。具体的には、潜在稼働率は3月に底入れした後に回復過程に入り、10月以降は震災以前に戻るとしているので、7-9月期は、サプライチェーンの立て直しが進んだため潜在稼働率が高まった効果が潜在GDPの推計結果に表れている(図3)。なお、非製造業の潜在稼働率は、第3次産業活動指数の水準がほぼ震災前に戻っていることを踏まえ、2011年1-3月期を除いて通常通りの推計(短観の生産・営業設備判断DIで回帰)を行っている。

  4. こうした特例的な取扱いをする背景には、今回の震災による現実の稼働率の落込み状況が、過去の災害時の動きと比較しても極めて大きく、サプライチェーンの寸断度合が甚大であったと見込んでいることがある。具体的にみると、過去の災害事例においても、自動車業界等でサプライチェーンの途絶が報告されており、特に輸送用機械における災害発生月の稼動率は製造業全体よりも大きく低下している(図4)。ただし、過去の事例では災害前の水準へ回復するために要する期間は短く、また、稼働率の低下幅も小さい。東日本大震災による稼働率の落ち込みは、際立って大きいことがわかる。

    (注)GDPギャップ=(現実のGDP-潜在GDP)/潜在GDP。推計方法の詳細は、内閣府「平成23年度年次経済財政報告」の付注1-1を参照。なお、GDPギャップの水準については、定義や前提となるデータ、推計方法によって異なるため、相当の幅をもってみる必要がある。

図1 GDPギャップの推移 図2 稼働率の推移 図3 稼働率比較
問合せ先
参事官(経済財政分析-総括担当)付
小寺 信也 直通:03-3581-9516

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