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今週の指標 No.1011 近年のスイスフランの動向とスイス国立銀行(SNB)の取組について

ポイント

2011年9月26日

  1. 欧州債務危機、アメリカ連邦政府債務問題等の影響を受け、スイスフランは本年5月頃より対ドル(ピーク時:1$=0.72CHF 2011年8月9日時点)、対ユーロ(ピーク時:1ユーロ=1.03CHF 2011年8月10日時点)双方で大きく増価した。
  2. こうしたフラン高の影響もあり、スイスの輸出は4-6月期に前期比▲1.3%となるなどの落ち込みを見せたことから、スイス政府は輸出企業救済を目的として、8月31日に8億7000万スイスフラン規模の緊急対策 を決定した。金融政策面では、スイス国立銀行(SNB)が下記の取組を行っているところである。
  3. 政策金利(スイスフラン建てLibor(3ヶ月物)) については、2008年12月以降は目標の下限を0%に設定してきた。その結果、スイスフラン建Libor(3ヶ月物)は低下しており、9月20日時点においては、0.0083%となっている。また、流動性供給拡充策については、今般の債務危機においては、2011年8月に3次にわたる当座預金の積増しを実施するなどの取組を行ってきた(現在の当座預金残高目標は2000億スイスフラン)。
  4. しかし、利下げや流動性供給拡充策の実施にも関わらず、スイスフラン高の傾向に歯止めがかからず、この状態が続いた場合、スイス経済の失速 や、デフレリスクをもたらす恐れがあることから、9月6日に許容水準を1ユーロ=1.20CHFに設け、無制限の為替介入を行う旨を表明した。
  5. 同宣言を受け、現時点ではスイスフランの増価には歯止めがかかっている状態ではあるが、SNBは、1ユーロ=1.20CHFでもなお高いとしており、市場では国内の輸出企業防衛のためにスイスフラン・ユーロ相場の許容水準を変更する可能性があるとの観測もある。
  6. 一方で、1,一連の流動性供給拡充等の取組により、2007年1月時点と比較してSNBのバランスシートは約2.4倍に拡大(2011年9月18日現在)するなど、現時点ですでに相当程度の緩和的な措置を行っていること、2,かつて2009年3月に行ったSNBの介入が多額の損失を引き起こしたことなどから、SNBが引き続き緩和的な措置をとっていくのか今後の動向が注目される。

図1 為替レートの推移 対USD、対ユーロ 図2 為替介入基準 図3 スイス政策金利とスイスフラン建Libor(3ヶ月物)の推移 図4 スイス国立銀行の資産の推移 図表5 2008年以降スイス国立銀行が行った政策金利変更

(備考)

  1. 同対策は業績不振による労働時間短縮によって減収となる労働者の失業保険や欧州全体で活動する企業に対する内外価格差補填補助金、研究開発投資などを主な内容とする。
  2. SNBは、流動性の不足・過剰に応じて短期金融市場に対する流動性供給と流動性吸収の二つの手法によってLibor(3ヶ月物)を操作することを通じてLibor(3ヶ月物)に影響を与えている。
  3. 事実、SNBは2011年9月20日に2011年、2012年の経済成長率の見通しをそれぞれ2.1%→1.9%、1.5%→0.9%に引き下げている。
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(加藤 翔一) 直通:03-3581-0056

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