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今週の指標 No.1006 中国:地方政府債務問題について

ポイント

2011年08月29日

  1. 加速するインフレや景気減速が問われている中国。それらと合わせて浮上しているリスクが地方政府の財政問題である。6月27日、中国審計署(日本の会計検査院に相当)は初めて地方政府の債務状況についての監査報告(注)を発表し、2010年末現在の地方政府が抱える債務総額が10.7兆元(約128.3兆円)を超えることを明らかにした。
  2. 地方政府は恒常的に財源不足に悩まされているうえに、債券を発行することが原則禁止されているため、自らが出資した都市インフラ開発公社(地方融資プラットフォーム)を設立し、主に政府の投資プロジェクトにかかる資金調達を担わせている。これらの資金調達機関が借入れを始めたのは1979年に遡る。経済成長と共に資金調達機関数および債務件数は著しく増加の一途をたどり、債務件数は約15年間で50倍にもなっている(図1)。また、これらの債務は7割以上が銀行貸出によるものであるため、債務償還が履行されない場合には、融資している中国の銀行が不良債権を抱え込む恐れもある(図2)。 監査報告では、「一部地域の返済能力は脆弱で、潜在的なリスクが存在する」と指摘されており、地域によっては、利益の上がる時期が償還期限に間に合わなかったり、地方政府が債務金額を把握していないなど管理体制がずさんである、といった構造上のリスクが挙げられている。
  3. 地方政府の主な投資先をみると、最も比重の高いのが、住宅を含む不動産に係るプロジェクトである(図3)。中国では、土地は国に帰属しており、私的所有権は存在しない。そのため、地方政府は不動産開発業者等への土地使用権の売却によって収益を得ることになる。 一方で、食品価格、不動産価格の高騰にけん引されるインフレ加速が懸念されており、中国当局はインフレ抑制のため貸出基準金利の引上げ等政策金利の引上げを行っている(図4)。こうした金融引締めや当局による貸出基準の厳格化等の窓口指導により、不動産価格の高騰は足元では収まりつつあるものの(図5)、今後景気減速等の影響により、不動産価格が大幅に下落するようなことになれば、土地使用権の売却による収入が目減りし、売却収入に返済を依存している割合が多い地方政府が、債務不履行になる可能性も低くない。不動産市況の動向によって、地方政府の返済能力が低下する危険性もはらんでいるのである。
  4. なお、地方政府が負っている債務のうち、2011年、12年までに償還期限をむかえる金額は約4.5兆元(約53.9兆円)と全体の4割を占めている(図6)。これらの債務を返済できるか、注視する必要があるだろう。
(注)審計署の監査報告は2010年末時点での数値であり、グラフ等に示される数量等は監査報告に準じて いる。

図1 ○○○○ 図2 ○○○○ 図3 ○○○○ 図4 ○○○○ 図5 ○○○○ 図6 ○○○○
問合せ先
担当:参事官(経済財政分析ー海外担当)付
平野真依子 直通:03-3581-9537

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