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今週の指標 No.1005 最近の電子部品・デバイス工業の生産の動向

ポイント

2011年8月22日

  1. 我が国の鉱工業生産の動向をみると、東日本大震災により大きく減少したが、足下では、サプライチェーンの立て直しにより、供給面の制約が緩和されるとともに生産が回復している。業種別にみると、輸送機械工業が牽引する形で回復しているが、電子部品・デバイス工業の回復が弱い状況となっている。(図1)
  2. 電子部品・デバイス工業の6月の生産実績は、前月比プラスとなったが、これは地デジ化に伴う液晶テレビ等の駆け込み需要に対応した電子部品の生産の伸びによるものであり、一時的なものと考えられる。(図2)
  3. このように電子部品・デバイス工業の生産の回復が弱い背景には、電子部品及び半導体における世界全体の需要の弱含みがあると考えられる。
      電子部品の日系企業の国内・海外向けの出荷の動向をみると、2010年半ばころから日系企業の国内向け及び海外向けの出荷額が減少基調となっている。(図3)
      また、半導体の世界市場の動向をみると、2010年半ばころから世界全体の出荷額が緩やかな減少基調となっている。地域別でみると、アジア向けは横ばいで推移している一方、アメリカ向けが減少傾向となっており、日本向けの減少が顕著となっている。(図4)
  4. 次に、内需に目を向けると、図3、4からも分かるように、電子部品、半導体ともに内需が弱い状況となっている。
      さらに詳細を確認するため、業種ごとの需要の動向をみてみよう。まず、電子部品・デバイスの各部門への販売額の割合(鉱工業全体を100%)をみると、情報通信機械系(30.1%)、電気機械系(18.1%)の部門の割合が最も高く、続いて精密機械系(5.4%)、輸送機械系(3.3%)の部門の割合が高くなっている。(図5)
      電子部品・デバイス工業の生産に対する各業種の生産の先行性を確認するため、電子部品・デバイス工業の生産と各業種の生産との時差相関をみると、鉱工業生産全体では、「1か月先行」の相関係数が0.66と最も高くなっている。情報通信機械工業では「一致」が0.48、電気機械工業では「1か月先行」が0.57、精密機械工業では「2か月先行」が0.87、輸送機械工業では「1か月先行」が0.78で最も高くなっている。(図6)
      各業種の生産の動向をみると、足下で持ち直し基調となっているが、先行きをみると、情報通信機械工業で、8月はマイナスに転じている。図5、図6の結果を踏まえると、8月における情報通信機械工業の生産の減少が電子部品・デバイス工業の生産に与える影響が懸念される。(図7)
  5. また、電子部品・デバイス工業の在庫循環をみると、2011年第2四半期に在庫調整局面に入った。(図8)また、在庫調整の速度(※)は、前回の局面と比べて減速している。在庫が減少する中で、生産の前期比が増加に転じるポイントが在庫調整の終了の目安と考えると、前回の局面では、2009年第2四半期がこれに当たる。今回の局面でこのポイントに到達するには、現在の速度(2011年第1四半期から第2四半期までの長さ)で調整が進むと仮定すると、1年はかかると考えられる。
  6. 以上より、世界全体の需要の動向や、業種ごとの需要の動向、在庫循環の状況等から考えると、今後、電子部品・デバイス工業における生産が弱含む可能性があるため、注視が必要であると言える。

    (※)図8における、ある時点から次の時点までの実線の長さを指す。

図1 鉱工業生産の前月比と業種別の前月比寄与度 図2 電子部品・デバイス工業の前月比と主要品目別の前月比寄与度 図3 電子部品の世界の出荷額の動向(日系企業の国内・海外向け出荷) 図4 半導体の世界の出荷額の動向 図5 電子部品(半導体含む)と各部門との取引額の割合 図6 電子部品・デバイス工業の生産と各業種の生産との時差相関 図7 電子部品・デバイス工業の生産と各業種の生産の動向 図8 電子部品・デバイス工業の在庫循環
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