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今週の指標 No.998 ドル円相場と株価

ポイント

2011年6月27日

  1. 日本の株価下落要因として円高進行が理由として挙げられることが多い。特に輸送用機器、電気機器など輸出への依存度が高い業種では、輸出によって得た外貨建ての収益を円換算する際に為替相場の影響を受ける。ただ、東日本大震災直後には、輸出の減少見通しを受け、外貨建ての収益の為替による変動が少なくなるとの見方も出て、株価のドル円相場変動に対する感応度が低下するとの指摘も見られた。そこで株価とドル円相場の関係について東日本大震災前後の変化を、業種別の特徴も合わせて確認する。

  2. まず、円高の進行により影響を受けるのはどの業種かを確認するため、東証株価指数(業種別指数)(以下、「株価指数」)とドル円相場の変動の弾性値を計算した(図1)。結果をみると多くの業種で円高がマイナスの影響を与えることが確認された。特に、輸送用機器、精密機器、電気機器などの株価に強い影響がみられ、加えて、海外で出資している事業からの配当金の目減りなどが指摘される商社など卸売業でも影響が確認された。

  3. 次に、東日本大震災前後の株価指数とドル円相場の日次データを用いて、震災前後の感応度に変化があったか確認する(図2)。すると、震災直後の円高・株安の進行とその後の株価の反発によって大きく振れているものの、総じて震災前との違いは見られない。この背景には、震災直後から、企業が被災工場の再開の見通しを発表したことや、証券会社のコメント等で生産回復への期待が指摘されたことから、日本企業の外貨建ての収益が回復する、すなわちこれまでと同様に収益が為替変動の影響を受けると考えられた可能性がある。

  4. さらに、長期的に見た場合、株価指数の為替感応度に変化は見られるのだろうか。2000年代の月次平均のデータを用いて、感応度の変化の傾向を確認する(図3)。弾性値は08年半ばにかけ上昇したものの、以降低下傾向となっているように見える。この理由としては、まず、2000年代中ごろの世界経済の高成長を背景に日本からの輸出が拡大し、円高が企業収益に与える影響度が高まったこと、またリーマンショック後は、日本の輸出が急速に減少し、為替感応度が低下したことが考えられる。これに加え、個々の企業が行ってきた円高による業績への影響を軽減する努力が成果をあげてきていることを、市場が評価するようになっている可能性もある。

図1.ドル円相場の変動が株価指数に与える影響(2000年代)
図2.東日本大震災前後の弾性値の推移
図3.長期的な弾性値の変化
問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付
熊谷 敏一 直通:03-3581-5854

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