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今週の指標 No.988 企業の内部留保の動向

ポイント

2011年4月25日

  1. 企業収益は、足元では震災の影響が懸念されるものの、2009年10-12月期から2010年10-12月期までは前年比でみて改善を続けてきた。リーマンショック後の収益悪化が大きかった大企業が中心ではあるものの、中小企業においても同期間に増益が続いていた(図1)。

  2. ここで、企業活動によって得られた利益の使われ方をみるために、企業の利益配分についての考え方を「法人企業景気予測調査」によって確認しよう(表1)。これをみると、すべての規模において、内部留保への配分の重要度が最も高く、内部留保以外では、全規模ともに設備投資の重要性が高い。調査方法が、重要度の高いものを3点回答する形であることを考えると、内部留保と設備投資の両方を重要と考える企業が多いことがうかがわれる。また、内部留保への利益配分については、調査時点を遡ってみると、重要度が高いと考える企業の割合が高まる傾向にあると言える(図2)。

  3. では、この企業が重要視する内部留保の動きを確認しよう(図3)。企業が調達したすべての資金に対する内部留保の割合、すなわち資産全体に対する比率をみると、内部留保の比率は上昇傾向にあることがわかる。一方で、現金化しやすい資産を合計した手元資金の資産比率は横ばいとなっており、内部留保比率を下回っている。このことから、内部留保された資金を、金融資産として運用するよりも事業活動への投資に振り向けていることが推測できる。

  4. 内部留保の動向について規模別に確認してみよう(図4)。企業を資本金別に、1億円以上の大企業、1千万円以上1億円未満の中小企業に分けてみてみると、大企業に比べて、中小企業で手元資金比率が高いことがわかる。金額ベースのシェアをみても、内部留保は大企業のシェアが高く、中小企業は手元資金のシェアが高い(図5)。このことから、中小企業が調達した資金が、大企業ほどには事業活動への投資に向かっていない可能性が指摘できる。

  5. また業種別に内部留保の状況をみてみると、内部留保が大きい業種において、固定資産が大きくなる傾向がみられる(図6)。また、固定資産の大きい業種では、設備投資をより多く実施する傾向がある。この結果から、企業が内部留保を蓄積して固定資産を形成している可能性が指摘できよう。

図1.経常利益の推移
表1.企業規模別の利益配分のスタンス(回答の多かった順位)
図5.内部留保と手元資金の規模別業種別シェア
図2.内部留保の重要度の推移
図3.内部留保比率と手元資金比率の推移
図4.規模別の内部留保比率と手元資金比率
図6.内部留保、固定資産、設備投資の関係
問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付
植松 陽平 直通:03-3581-0806

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