内閣府 Cabinet Office, Government of Japan

内閣府ホーム  >  今週の指標  >  今週の指標 No.984

今週の指標 No.984 所得収支の動向

ポイント

2011年3月28日

  1. 日本の経常収支の内訳をみると、2005年を境に所得収支の黒字額が貿易収支の黒字額を上回るようになった(図1)。所得収支の黒字幅が拡大した要因は、所得収支の大半を占める投資収益の増加である。

  2. 所得収支における投資収益の受取額の内訳をみると、証券投資収益、直接投資収益、その他投資収益の順に額が大きい(図2)。証券投資収益の受取額は2010年(速報値)で約10.6兆円であった。一方、直接投資収益の受取額は、近年、緩やかながらも増加傾向にあり、約3.4兆円となっている。

  3. それぞれの投資収益を生み出す投資残高について、まず、証券投資残高の内訳をみると、米ドルやユーロ建ての株式や債券が過半を占めていることが分かる(図3)。いわゆる外国証券投資であるため、投資に際しては為替リスクを負うことになる。そのため、円ベースでの受取額は投資先国の景気や金利情勢に加えて、為替レートの影響を大きく受ける。実際に証券投資収益と為替の相関を2006年から2010年末の5年間で計測すると、図4のように有意な関係にあることがわかる。

  4. 次に、対外直接投資残高の内訳を地域別にみると、米国、欧州が依然として高いものの、近年、アジアの比率が高まってきており、米国やユーロ圏の投資が多い証券投資と比べると、やや様相が異なる(図5.6)。これは、国際的に展開する本邦企業が、近年、アジアに積極的に進出している状況を表していると考えられる。

  5. 最後に証券投資と直接投資で収益率を比較すると、直接投資の方が振れは大きいものの、均してみると収益率が高く推移していることがわかる(図7)。安定的な債券投資中心の運用よりは、直接事業展開を行う直接投資の方がリスクは高いものの、高い収益が実現できていると考えられる。特に、2003年以降はアジア通貨危機やITバブル崩壊の落ち込みの影響が一段落し、世界経済が新興国を中心に高い成長を遂げたことに加え、日本企業が海外事業展開のノウハウを蓄積してきたことが相まって収益率が上昇している。2008年のリーマンショック以降では、直接投資の収益率はやや伸び悩んでいるものの、依然として、証券投資収益よりも高いパフォーマンスを実現している。

図1 経常収支の内訳の推移
図2 対外投資収益(受取)の内訳
図3 証券投資(資産)残高通貨別・証券種類別統計
図4 証券投資収益のドル・円レートとの相関
図5 対外直接投資残高の地域別内訳
図6 地域別対外直接投資残高の推移
図7 直接投資収益と証券投資収益率の推移
問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付
藤代 宏一 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

内閣府 Cabinet Office, Government of Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)