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今週の指標 No.983 イタリア:イタリア経済における現状と課題

ポイント

2011年3月7日

  1. イタリアでは、2008年9月のリーマン・ブラザーズの破たんを契機とした世界金融危機と景気後退の深刻化に伴い、実質経済成長率は急激な落ち込みを示した(図1)。その後、09年の第3四半期にプラス成長となったが、10年第1四半期以降においては、前期比年率0.5%近傍の弱い伸びとなっている。以下では、イタリア経済における構造的な問題点を概観した上で、今後の課題について検討する。

  2. 失業率は、11年1月は8.6%となっており、07年1月と比較すると2%近く上昇した(図2)。特に、25歳未満の若年層の失業率は29.4%となっており、全年齢層平均の失業率の3倍以上の数値となっている。若年層の失業の長期化により、将来的な労働力の質の低下が懸念され、ひいては、潜在成長率の低下が懸念される。また、長期失業が失業者全体に占める割合は、07年以降一貫してユーロ圏平均を上回っており、10年第3四半期においては失業者のうち約半数が長期失業となっている(図3)。

  3. 労働生産性は、長期的にみると、01年第3四半期以降、恒常的に2000年の水準を下回る状況が続いている(図4)。他のユーロ圏諸国等と比較しても、低い水準で推移し続けている。この点についてOECDは、「イタリアの労働生産性は、他のG7諸国と比較しても明らかに対照的で、停滞している。」と指摘している。

  4. 労働市場における構造的な問題の他に、政治不信やギリシャ財政危機のコンテイジョンの再燃が経済成長を阻害する要因として挙げられる。イタリアのベルルスコーニ首相は、11年2月に未成年者売春や警察に関する汚職等の容疑により起訴され、この問題に対してイタリア市民は、ベルルスコーニ首相の辞任を求める大規模なデモを行った。また、イタリアを含む南欧諸国等のドイツ国債(10年物)利回りとのスプレッドやソブリンCDSは、11年初めから低下傾向を示していたが、11年1月下旬から再び上昇し始め、依然として高い水準で推移している(図5、図6)。

  5. 労働市場改革による若年失業率の低下や労働生産性の向上は、イタリア経済の成長を促進させるために非常に重要である。しかし、構造改革は、短期的には企業倒産や失業の増加を通じて景気に下押し圧力となるおそれがあり、また、構造改革の成果が経済成長に現れるまでには、時間が必要である。こうした観点から、構造改革を実施するタイミングについては慎重に判断し、実行する必要がある。加えて、イタリア国内の政治動向やギリシャ等の南欧諸国の動向を注視していく必要がある。

図1.実質経済成長率と項目別寄与度
図2.失業率の推移
図3.長期失業が失業者全体に占める割合
図4.労働生産性の推移
図5.ドイツ国債(10年物)利回りとスプレッド
図6.ソブリンCDS
問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付
品田 朋廣 直通:03-3581-0056

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