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今週の指標 No.982 家計の節約志向と個人消費

ポイント

2011年2月28日

  1. 消費者マインド(消費者態度指数、季節調整値)は足下ではおおむね横ばいになっているものの、均してみれば2009年後半から改善傾向が続いてきた(図1)。本稿では、こうした消費者マインドの改善傾向が続く中で、家計行動がどのように変化しているかを探る。

  2. 図2は家計調査における購入単価の前年比と、それに対応する消費者物価前年比の差が、プラスとなった品目数の割合をみたものである 。消費者物価は特定店舗で特定の品目の価格を調査したものであるため、品質を一定としたときの価格の変化を表す。一方、購入単価は支出金額を購入数量で除したものであるため、価格変動だけでなく、購入先や購入銘柄の変化を反映したものとなる。すなわち、購入単価の前年比が物価の前年比を上回っていれば、高級品へのシフトが進んでいる(≒品質が向上している)と解釈できる。高価格品シフトが進む品目の割合は、変動が大きく低水準にあるものの、緩やかな改善傾向にあり、家計の節約志向が徐々に緩和してきていることを示唆している(注)。

  3. では、家計の節約志向の緩和は小売業の販売にどのように影響しているのだろうか。業態別に販売の動向をみると、衣料品に関しては、高級品のウエイトが高い百貨店の販売は悪化が続いているものの、徐々に悪化が緩やかになっていることがわかる。一方、食料品に関しては、スーパー、コンビニエンスストアが堅調に推移するなかで、百貨店の低迷が続いている(図3)。

  4. こうした業態別の動きの違いを分析するため、品目別に購入数量と品質の変化をみると(図4)、高級品へのシフトが進んでいる品目の多くでは、購入数量は減少しており、特に衣料品でその傾向が強い。数量の減少から衣料品売上全体としては伸び悩んでいるものの、節約志向が徐々に緩和してきた結果、百貨店の相対的なウエイトが下げ止まってきているとみられる。一方、食料品に関しては、依然として低価格志向が続いているため、スーパーやコンビニエンスストアの販売が好調となっているとみられる。

  5. 衣料品等にみられる、高級品にシフトしつつも数量を減らすことで支出をおさえるといった家計行動の背景には、耐久財消費の大幅な増加があるとみられる。耐久財購入支援策により自動車や家電製品等の耐久財が「買い時」であったため、支出の多くは耐久財に振り向けられ、その一方で半耐久財、サービスの消費は2009年4月から景気拡張局面にも関わらずほとんど増加していない(図5)。エコカー補助金は2010年9月に終了しており、エコポイント制度も2011年3月末をもって終了予定であることから、耐久財消費のけん引力は徐々に減衰する公算である。そうなった場合、消費の裏付けとなる所得が安定的に推移すれば、これまで耐久財に集中していた支出が、他の財やサービスに振り向けられる可能性が高まってくる。なかでも衣料品等の半耐久財は、所得弾力性が高いことから、これまで数量が伸び悩んでいた高級品でも数量の増加を伴って消費が活性化する可能性があるだろう。

  6. (注)家計調査の購入単価は、全ての品目で公表されているわけではない。また、家計調査と消費者物価では、品目分類が完全には一致しないため、両指標に関して2007年1月以降、連続したデータが取れる158品目を使用して分析した。採用品目の消費額が2010年の消費支出全体に占める割合は26.9%。

図1 消費者マインドの動向
図2 品質が向上している品目数の割合
図3 業態別にみた小売販売の動向
図4 品目別にみた品質と購入数量の変化
図5 財・サービス別個人消費の推移
問合せ先
担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付
橋本 政彦 直通:03-3581-9516

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