今週の指標 No.977 目次   前へ   次へ 2010年12月13日

すう勢的に減少している公共投資の最近の特徴

<ポイント>

  1. わが国の公共投資の動向を見ると、2009年度は累次の経済対策により前年度を上回る投資水準であったが、基調としては1998年度以降減少が続いており、2009年度の公的資本形成がGDPに占める割合は1998年度の半分近くの水準にまで低下している(図1)。このようにすう勢的な減少を続ける公共投資において最近どのような特徴があるかを確認してみる。

  2. まず、2000年度以降の公共工事の1件あたりの請負金額を発注者別に見ると、全体では東京国際空港D滑走路工事などの大型工事の影響で、2006年から2008年にかけて横ばい又は微増となったものの、総じて減少基調にあり、特に、都道府県、市区町村の1件あたりの請負額は大きく減少している(図2)。また、請負金額別の構成比を確認すると1,000万円未満の工事割合が年々高まっていることがわかる(図3)。こうした工事の小規模化は、厳しい財政状況で大規模な公共工事が困難な中、地域に必要な最低限の社会資本整備を進めていることが要因であると考えられる。

  3. 一方、建設工事受注額のうち、維持補修工事の割合が、国機関からの発注も地方機関からの発注も2000年度以降高まる傾向にある(図4)。昭和30年代以降急速に整備された社会資本の老朽化が進んでおり、これが社会資本の維持管理費や修繕費の割合増加につながっている可能性もある。

  4. また、近年、資本金が3億円未満の中小企業が請け負う工事の割合が増加している(図5)。これらの動きは、官公需法に基づいて中小企業に受注機会を増加させる施策の効果に加え、上述の背景により規模が小さい工事が一定量発注され、中小の建設業の受注につながっているものと思われる。

  5. このように、わが国の公共投資はすう勢的に減少を続けているが、1件あたりの工事の小規模化や、修繕・維持管理工事の割合の増加によって、中小企業が請け負う工事の割合が高まっている。建設業への影響も含め、今後の国及び地方の補正予算の執行状況を注視していく必要がある。


図1.公的固定資本形成(名目値)と対GDP比の推移
図2.発注者別 1件あたりの請負金額の推移
図3.請負金額別件数構成比 図4.維持補修工事の割合
図5.中小企業が請け負う公共工事の割合

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 府馬 一貴 直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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