今週の指標 No.975 目次   前へ   次へ 2010年11月29日

住宅着工床面積の動向

<ポイント>

  1. 建築着工統計を基に1戸当たり床面積の推移をみてみよう(図1)。まず総平均の床面積を見ると、2007年、2008年と80m²台半ばで推移していたが、2009年以降は緩やかに増加を続けており足元では90m²を上回ってきている。次に、利用関係別、すなわち持家、分譲および貸家別にみると、平均すると床面積が最も広い持家は130m²強から130m²弱へと縮小傾向にある。一方、分譲は100m²弱で推移し、2008年はやや縮小したが、2009年にやや拡大した。また、平均が最も狭い貸家は40m²半ばから50m²程度へと拡大傾向となっている。

  2. 2007年9月に1戸当たり床面積の総平均が増加しているが、これは改正建築基準法の影響により、相対的に床面積が狭い共同建分譲および貸家が特に落ち込み、床面積の広い持家の割合が結果として高まったことが要因である(図2)。その後、共同建分譲および貸家の割合は、リーマンショックに伴う在庫の積み上がりや資金繰りの悪化を背景として、共同建分譲で10%弱、貸家で40%程度にまで落ち込んだ。足元では、共同建分譲は15%まで戻しているが、貸家は家賃が低水準にとどまっていることを背景に、30%台半ばにまで落ち込んでいる。この間、持家の割合は政策効果もあり40%弱の水準にまで高まっている。

  3. では、住宅全体の1戸当たりの平均床面積はどのような要因で変化しているのだろうか。平均床面積の前年比を、持家、分譲、貸家等の構成比の変動(以下、構成比要因)と、持家、分譲、貸家等、それぞれの平均床面積の変動(以下、利用関係別床面積要因)に寄与度分解を行うことで分析を行った(図3)。まず、平均床面積の変動をみると、2007年の9月、10月に大きく増加している。これは前述の改正建築基準法の影響で持家の割合が高まったという特殊要因によるものである。2008年にはその反動があったが、2009年、2010年になると平均床面積はすう勢的に拡大している。この変動要因をみると、構成比要因の寄与が大きく、平均床面積のすう勢的な拡大は、着工戸数に占める持家の構成比の高まりなどが影響したと考えられる。
    一方、利用関係別床面積要因も、2008年における平均床面積の縮小と、その反動としての2009年半ばからの拡大に寄与している。これは2007年のサブプライムローン問題や、続く2008年のリーマンショックによる住宅市場の低迷の影響が住宅規模の縮小に働き、その後貸家や分譲を中心に2009年半ばから持ち直し始めたことが背景として考えられる。


図1.利用関係別1戸当たり床面積の推移
図2.着工戸数に占める利用関係別構成比
図3.1戸当たり平均床面積の寄与度分解(前年同月比)

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付  等々力  淳  直通:03-3581-9527

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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