今週の指標 No.970 目次    前へ    次へ 2010年10月25日

雇用過剰感と雇用の見通しについて

<ポイント>

  1. 雇用人員判断DI(「過剰」−「不足」)の最近の動向を見ると(図1)、製造業・非製造業ともに、雇用過剰感は弱まっているものの、雇用者数は概ね横ばいで推移しており、雇用過剰感の改善が雇用者の増加につながっていないことが分かる。
  2. 過去の景気持ち直し局面において、雇用過剰感(雇用判断DI)と雇用者数がどのような関係にあったのかを見ると(図2)、製造業において雇用者数が増加に転じる際の雇用過剰感は局面によって異なることが分かる。2002年1-3月期に始まった景気拡張局面では、雇用判断DIが0を超えて雇用過剰感が解消してきた段階で、ようやく雇用者数が増加に向かっている。  一方、非製造業については、増加トレンドがあり、雇用過剰感が強まっている局面においても、雇用者数は増加もしくは横ばい圏内の動きとなっている。
  3. 次に、こういった雇用過剰感が企業の雇用見通しや新卒採用計画にどういった影響を与えているのかについて分析を行った。まずは、内閣府の「企業行動に関するアンケート調査」における今後3年間の雇用見通しを、調査時点の雇用過剰感と需要成長見通しで説明する重回帰式を推計したところ、両方の要因ともに有意な結果となった(図3)。また、ほとんどの期間において、雇用過剰感は雇用見通しの大幅な押し下げ要因となっていたことが分かる。
  4. 同様の分析を翌年度の新卒採用計画に対しても行ったところ(図4)、雇用過剰感については有意な結果が観測されたものの、需要成長見通しについては有意な結果が得られなかった。
  5. 以上を踏まえると、新卒採用計画は先行きの成長期待ではなく足元の雇用過剰感の影響を大きく受けるということ、一方、中期的な雇用見通しは足元の雇用過剰感に加え、先行きの成長期待の影響を受けるということが言えよう。

雇用過剰感と雇用者数の推移 雇用過剰感と雇用者数の関係 今後3年間の雇用見通しの要因分解 雇用過剰感と新卒採用計画の関係

担当:参事官(経済財政分析ー総括担当)付  永井  良尚  直通:03-3581-9516

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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