今週の指標 No.969 目次    前へ    次へ 2010年10月4日

中国の不動産価格の動向について

<ポイント>

  1. 中国では、2008年秋の世界金融危機発生後の金融緩和を背景に、不動産向け貸出が急増し、09年半ば頃から不動産価格が上昇、不動産市場過熱が懸念されてきた(図1)(図2)(図3)(図4)。
  2.  不動産価格の上昇には、投機目的の購入が少なからず寄与していると考えられており、中国政府は、本年4月に不動産購入向け貸出抑制策を打ち出した(表5)。不動産価格は、同政策が打ち出されてから6月くらいまで、沿海部を中心とした一部都市においては若干の落ち着きがみられてきた。特に6月は、北京・上海等の沿海部の都市において09年2月以来初めて前年比で伸びがマイナスとなった。
  3.   しかし、7月8月の不動産価格は、全国では前月比で横ばいとなった。また、取引量は、4月の貸出抑制策が打ち出された後、例えば北京ではしばらく減少していたが、足元では増加がみられる(図6)(注1)。販売面積についても、4月以降全国的に前年比の伸び率が低下してきていたが、8月に入り、東部(沿海部)及びそれに牽引される形で全国で伸びが増加に反転している(図7)。
  4.  地域によって異なる状況が生じている背景には、貸出抑制にかかる国務院通知を受けて、各都市において地方の実施細則が制定されることになっているものの、実態としては、それらの規定内容が緩やか、または実施が不徹底であったり、あるいは規定自体を未だ制定していないケースもあり、こうした状況が、各地域の不動産市場の動向に影響していると思われる。さらに、特に内陸部では都市化の進展を背景とした住宅購入の実需も旺盛であることも背景として挙げられる。また、北京等の一部の都市における不動産取引量の推移から、貸出抑制策が打ち出されて数ヶ月間は、需要側(購入者)と供給側(不動産ディベロッパー)の双方が、それぞれ様子見の態度をとっていたことが考えられる。足元での取引量増加の動きは、いわゆる「金九銀十」(注2)の期間に入ったことも要因と思われるが、この先の不動産価格の再上昇につながる可能性もはらんでいるといえる。
  5.  中国政府は、不動産価格の上昇を断固として抑制するという政策態度を引き続き堅持する意向を表明、9月下旬には三軒目の住宅購入への貸出禁止等のさらなる不動産価格上昇抑制策を打ち出した。当面は、4月以降の一連の政策効果があまりみられずに引き続き不動産市場が過熱するリスクと、政策効果が予想以上に現れた場合の価格急落のリスクが並存しており、引き続き動向を注視する必要がある

    (注1)新華社通信によると、沿海部を中心とした一部の都市で不動産取引量が増加しているという。
    (注2)中国では、国慶節等の連休がある9月と10月は、消費者の購買意欲が旺盛になり、不動産市場も同時期は売買が特に活発化するといわれており、この期間を「金九銀十」と呼ぶことがある。

マネーサプライの動向
不動産向け貸出残高
主要都市建物販売価格(前月比)
主要都市建物販売価格(前年比)
「国務院  一部都市の不動産価格の速すぎる上昇の抑制に関する通知」(概要)(2010年4月17日)
住宅取引量の推移(北京)
商品建物販売面積

担当:参事官(経済財政分析ー海外担当)付  須賀  昭一  直通:03-3581-9537

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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