今週の指標 No.967 目次   前へ   次へ 2010年9月21日

マレーシアの輸出について

<ポイント>

  1. 8月18日に発表されたマレーシアの4〜6月期の実質GDP成長率は、前年同期比8.9%となり、伸びは1〜3月期より低下したものの、引き続き力強さを示している(図1)。需要項目別にみると、主に個人消費と投資が伸びに寄与しており、内需の堅調さが実質GDP成長率を押し上げている。一方、純輸出は、マイナスの寄与となっている。これは、輸入の伸びが輸出の伸びを上回っていることが要因だが、輸出の伸びをみてみると、足元では、一時期の高い伸びに比べ、力強さに欠けている。マレーシアは、輸出の名目GDP比は82%(09年)となっている。この点を踏まえると、輸出の動向がマレーシア経済に与える影響は大きいと考えられる。
  2. 通関ベースの輸出は、08年の世界金融危機後に大きく落ち込んだが(図2)、中国向け輸出の増加を中心に徐々に回復してきた(図3)。しかし足元では、前年の反動もあるが、中国向け輸出の勢いは失われつつある。中国向け輸出の内訳をみると、10年に入ってからは、中国の内需の鈍化を反映してか、伸びが高まっていた機械類及び輸送機器、鉱物性燃料、原料別製品の伸びの低下がみられ(図5)、中国向け輸出全体の伸びの低下の要因となっている。
  3.  回復をけん引していた中国の伸びの鈍化が要因の一つとなり、輸出全体としても、10年3月をピークに、前年比の低下(図2、3)、季節調整済み金額の減少(図4)等、減速感が現れている。
  4. 輸出相手国については、欧米、中国、韓国、シンガポール、タイ等、比較的多様である。しかし、欧米と中国向け輸出額を合わせると、輸出総額の3割を超えている。また、欧米の景気が停滞した場合や中国の景気の拡大テンポが更に緩やかになった場合には、韓国等のアジアの景気へもその影響が及ぶリスクがあることを考えると、輸出の先行きについて楽観視するのは難しい。
  5. 一方で、マレーシア政府は第10次5ヵ年計画等で、内需主導型の産業構造への転換を目標に掲げており、若干の輸出の減速は、産業構造転換を促す契機となる可能性もある。しかし、産業構造の転換には時間を要するため、当面は、輸出の動向はマレーシア経済へ大きく影響を与えることになり、注意深くみていく必要がある。

実質GDP成長率の推移 輸出の推移(未季調値、自国通貨ベース) 輸出の推移(相手国別、前年比) 輸出に推移(季調値、自国通貨ベース、3ヶ月移動平均) 中国向け輸出の推移(品目別寄与度)

担当:参事官(経済財政分析ー海外担当)付 朝倉 ゆき 直通:03-3581-9537

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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