今週の指標 No.966 目次   前へ   次へ 2010年9月13日

日本企業の海外における設備投資の動向

<ポイント>

  1. 日本政策投資銀行の設備投資計画調査によると、2010年度の企業の設備投資は、リーマンショック後の急激な減少を経て、緩やかながら3年ぶりの増加に転じる計画となっている(図表1)。とりわけ、海外での投資へ振り向ける金額の増加が著しい(図表2)。現地生産化の進む自動車においては、国内投資以上に海外へ資金を投下する予定となっている。
  2. また、海外への投資状況を、財務省の国際収支統計から見てみると、2008年前半までは製造業が対外直接投資の過半を占めていたが、2008年後半以降、非製造業がその主役となっている(図表3)。特に、2008年第4四半期には、金融機関による海外金融機関への資本注入が目立った。また、鉱業や商社による資源権益の獲得も活発化している。一方、製造業は、海外企業への出資やM&Aを継続している。同時にこれまでに築いた地盤を活用し、現地法人を通じて設備投資を行っているものと推察されるが、この中には対外直接投資に入ってこないものもある。
  3.  そこで、製造業による現地法人における設備投資状況を確認するために、経済産業省「海外現地法人の動向」を見てみると、海外現地法人による有形固定資産の取得額は、リーマンショックを境に急激に減少したが、2009年第3四半期を底に持ち直しつつあることが窺われる(図表4)。規模自体は縮小しているものの、海外における設備投資の多くが、輸送機械、電気機械によるものであることに変わりはない。
  4. これら業種の地域別の設備投資状況を見ると、輸送機械ではアジア及び北米での投資が盛んであり、電気機械ではアジアでの投資が大勢を占めている(図表5)。両業種ともアジアでの投資が活発なことの背景には、人件費等コスト削減が可能であることや今後も中間層の拡大による現地需要の拡大が見込まれることがあると考えられる。アジアでの設備投資は全産業ベースで見ても活発になっている。
  5. アジア拠点の位置付けを売上高の面から見てみると、地域別では、アジア向けが最大であり、2003年第1四半期の43%台から2010年第1四半期には60%台までその比率が高まっている(図表6)。このことから、これまでは安価に製造して欧米・その他地域及び日本へ輸出するための拠点としての役割が大きかったアジアの現地法人が、成長が見込めるアジア市場に製品を供給する戦略拠点としての役割をより強めつつあることが窺われる。

設備投資の増減率推移 海外/国内設備投資比率 対外直接投資の推移 海外現地法人による有形固定資産取得状況 有形固定資産取得額推移(全産業) 有形固定資産取得額推移(輸送機械) 有形固定資産取得額推移(電気機械) アジアの現地法人における販売地域別売上高推移

担当:参事官(経済財政分析ー総括担当)付 前川 亜由美 直通:03-3581-0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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