今週の指標 No.962 目次   前へ   次へ 2010年8月16日

ギリシャ財政再建に関するIMF等の審査結果の公表

<ポイント>

  1. 8月5日、IMF・欧州委員会・ECBは、ギリシャ支援の条件であったギリシャの財政再建の進捗状況に関する第1回目の審査結果について、「ギリシャの財政再建は力強いスタートを切った」との共同声明を発表した。本審査結果を踏まえて、総額90億ユーロの第2回目の融資が実施される予定である。
  2. ギリシャ財務省によると、ギリシャの財政赤字は1−7月期に前年同期比39.7%減の121億ユーロとなった。目標である39.5%減とほぼ同じペースで、財政再建は進捗している(図1)。
  3. しかし、ギリシャ経済の状況は非常に厳しい。実質GDP成長率は7四半期連続でマイナスを記録しており、ユーロ圏全体では小幅ながらもプラス成長に転じているのとは対照的である。また、失業率と消費者物価指数(HICP)が、ともに上昇しており(図2、3)、ギリシャの主要産業である観光業は、ストやデモの影響もあり厳しい状況が続いている。
  4. 先行きについてみると、経済情勢の悪化や雇用・所得環境の厳しさを背景に消費者信頼感指数は悪化している(図4)。また、国債利回りやソブリンCDSは、一時期よりは低下したものの依然として高水準で推移しており、ギリシャの経済・財政環境に対する市場の評価は厳しい(図5)。このような厳しい経済情勢が続く中で、ギリシャ政府が、引き続き財政再建を計画どおり実行できるのかどうか懸念される(図6)。

    (備考1) ギリシャ財務省、ギリシャ統計局、ユーロスタット、ブルームバーグより作成。
    (備考2) ギリシャにおける付加価値税は、2010年3月に19%から21%に、同年7月に21%から23%に引き上げられている。また、アルコール、たばこ、燃料税が引き上げられている。
    (備考3) WTTC(世界旅行産業会議)によると、ギリシャの観光業がGDPに占める割合は15.2%、雇用に占める割合は18.5%(2009年)。
    (備考4) 「消費者信頼感指数」は、今後1年間の見通しにつき尋ねたもの。

【図1】一般政府財政赤字(2010年の月次累積値)の推移
【図2】実質GDP成長率の推移
【図3】失業率と消費者物価指数の推移
【図4】消費者信頼感指数の推移
【図5】ギリシャの金融指標の推移
【図6】ギリシャの財政再建計画

担当:参事官(経済財政分析-海外担当)付 伊藤 靖晃 直通:03-3581-0056

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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