今週の指標 No.959 目次   前へ   次へ 2010年6月28日

リーマンショック後の雇用動向の特徴

<ポイント>

  1. リーマンショック後の景気循環(2009年3月を谷。以下「今回局面」という。)における雇用動向の特徴を見るために、「年齢別の失業率の変動」、「業種別の雇用者数の変動」、「UV曲線の推移」について、前回の景気循環(2002年1月を谷。以下「前回局面」という。)と比較しながら分析を行う。
  2. まず、失業率の変動を景気の谷を基準して見ると(図1)、第一に、失業率は遅行指標であり、おおむね谷の前後で上昇するものであるが、今回局面は前回局面と比較して悪化と改善のペースが急であり、変動が激しい。今回局面においては、生産が大きく変動しており、失業率もそれを反映して動いてきたことが示唆される。第二に、前回局面においては各年齢層とも同じ程度失業率が悪化しているが、今回局面においては特に25歳〜34歳層の失業率が大幅に悪化していることがわかる。第三に、前回局面は谷から7ヶ月後あたりから改善が見られたのに対し、今回局面は谷から3ヶ月後あたりから改善がみられる。これらの動きは、今回局面では製造業の期間工など若年の非正規労働者が雇用調整の対象になりやすかったと同時に、改善の動きも期間工を中心に早めに出てきたことを示しているものと考えられる。
  3. 次に、雇用者の変動を景気の谷を基準にして見ると(図2)、第一に、今回局面は製造業の落ち込みが顕著であった。第二に、今回は非製造業の雇用者はむしろ増加基調にあったことが分かる。これらの動きは、失業率の変動と同様に今回局面における雇用情勢の変化は主に製造業で生じていたという見方の裏付けとなろう。第三に、非製造業については業種別に見ても前回局面に比べると業種間のばらつきがなかった。前回局面においては医療・福祉や教育・学習支援業の増加が目立っていたものの、今回は、情報通信業を除いておおむね増加基調にある。非製造業は、景気変動に関係なく2000年代以降、トレンドとして雇用者が増加しているとも言えよう。
  4. 最後に、雇用失業率と欠員率の関係をプロットしたUV曲線を年齢別に見て(図3)、今回の雇用情勢の変化が構造的なものか需要不足によるものか分析する。UV曲線は原点から右上に遠ざかると、構造的失業が相対的に増加し、UV曲線が左上にシフトすると需要不足失業が増加することを示している。第一に、今回局面のUV曲線は前回局面よりも原点のほうにシフトしており、以前と比較して構造的失業(労働需給のミスマッチによる失業)が低下している。第二に、今回局面はどの年齢層もUV曲線が左上にシフトしており、ミスマッチは強まっていなかったものの大幅に需要不足が生じ、雇用情勢が悪化したことが分かる。第三に、年齢別に見てみると今回局面は特に、25歳〜34歳層の需要不足失業が大きく上昇している。
    リーマンショックの後、製造業の期間工において雇用調整の動きが目立ったが、以上の分析から、実際、製造業で働く20代、30代の若年労働者の雇用が大きな影響を受けたことが分かる。

図1 失業率の推移 図2 雇用者数の推移 図3 UV曲線の推移

担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 藤木 雄太 直通:03-3581-9516

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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