今週の指標 No.958 目次   前へ   次へ 2010年6月21日

英国:増加する輸出

<ポイント>

  1. 英国の財・サービスの輸出は、世界金融・経済危機の影響を受け、08年11月から7か月連続で減少し、09年5月の輸出は08年10月に比べて約14%減少した。その後は財輸出がおおむね増加したことにより、財・サービス輸出全体も09年半ばには増加に転じ、おおむね前月比で増加が続いた(図1)。
  2. 英国からの輸出を地域別にみると、全体の5割を占めるユーロ圏向け輸出が大幅に減少した。しかしながら、09年夏頃から、ヨーロッパ経済の下げ止まりを反映してユーロ圏向け輸出の減少幅が前年同月比で縮小し、10年初には増加に転じた。また、輸出の約1割を占めるアジア向け輸出が増加に転じていることも寄与して、英国の輸出は増加している(図2)。
  3. ユーロ圏向け輸出を国別にみると、ベネルクス3か国向け輸出の落ち込みが大きかったが、09年12月以降前年同月比で増加している(図3)。財別にみると、鉱物性燃料の輸出動向が全体に影響している。鉱物性燃料の輸出は、高騰していた原油価格の下落もあり前年同月比で大幅な減少となっていたが、その後は原油価格の下落が一巡し、09年3月以降は原油価格が上昇に転じたため、09年11月以降は増加に転じた(図4)。
  4. アジア向け輸出の増加は、中国向け輸出がけん引している(図5)。中国向け輸出が英国輸出全体に占める割合は09年で2.3%と小さいものの、中国景気の拡大を背景に中国への輸出が大幅な増加に転じた。中国向け輸出を財別にみると、機械類・輸送用機器類が09年初に前年同月比で大幅に減少していたが、09年9月から増加に転じた(図6)。機械類・輸送用機器類の中でも、自動車が09年後半から前年同月比で増加に転じている。特に、英国から中国向けに輸出される自動車のうち約8割を占める乗用車は、世界金融・経済危機の影響により一時減少に転じたものの、09年1月から中国で実施された自動車買換え・購入支援策の影響もあり、同年10月以降大幅な増加を続けている。
  5. ポンドの動きをみると、ユーロに対しては08年8月から、ドルに対しては08年11月から大幅に減価した。その後、ユーロに対してはやや持ち直したが、現在も08年前半時点と比較すると依然としてポンド安が続いている。また、08年夏以来、対ドルでほぼ一定となっている人民元に対してもポンド安が続いている。こうしたポンドの減価も、価格競争力の増加を通じて、輸出を押し上げる要因となったと考えられる(図7)。

図1 財・サービス輸出の推移 図2 国・地域別輸出の推移 図3 ユーロ圏向け輸出の推移 図4 ベネルクス3か国向け輸出の推移 図5 アジア向け輸出の推移 図6 中国向け輸出の推移 図7 ポンドの推移

担当:参事官(海外担当)付 當麻 江美 直通:03-3581-0056

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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