今週の指標 No.956 目次   前へ   次へ 2010年4月26日

設備投資とキャッシュフローの動向

<ポイント>

  1. 民間企業の設備投資は、2008年4−6月期から減少が続いてきたが、このところ減少幅が縮小し、下げ止まりつつある(図1)。設備投資の原資である企業のキャッシュフローの状況について概観すると、世界的な景気回復の流れの中で、企業のキャッシュフローはやや持ち直してきている。一方で、設備投資は、キャッシュフローにやや遅れて連動する傾向にあり(図2)、最近では、減価償却費を下回る水準まで低下している。

  2. 次に企業のキャッシュフローの状況が設備投資に与える影響を、弾性値を計算して時期別に見てみよう。1990年代と2000年代を比較すると、設備投資のキャッシュフローに対する弾性値は低下している。企業規模別に見ると、資本金1億円以上の大・中堅企業、同1億円以下の中小企業ともに、2000年代の方が弾性値が低い。特に、中小企業において大きく減少している。また、製造業、非製造業の間で比較すると、高い値であった製造業の弾性値が2000年代になって低下している(図3)。以上より1990年代の方が、キャッシュフローへの設備投資の感応度が、中小企業や製造業を中心に高く、2000年代になって手元の資金状況が企業の設備投資に及ぼす影響が低下してきていることがわかる。

  3. 企業の設備投資に影響を与える要因として、キャッシュフローや企業をとりまく金融環境以外にも既存のストックに対する過剰感や、将来の成長の見込みが考えられる。そこで、2で用いたモデルに、前年度末の設備過剰感、及び、前年度末時点での次年度以降の需要成長率見込みを説明変数として加えたモデルを推計した。その結果、設備過剰感に関して負の符号で有意な結果が得られた(表1)。設備過剰感の強まりが、翌年度の設備投資を押し下げると推測できる。

  4. 今後の設備投資の動向を見る上でも、過剰設備の動向を注視する必要がある。設備過剰感は、依然として高水準ながら製造業を中心に弱まってきており(図4)、設備投資にマイナスにはたらく要素が弱まってきていると考えられる。結果として、キャッシュフローの回復が、タイムラグを置いて設備投資の持ち直しにつながる可能性が出てきたと言えよう。


図1 設備投資の推移
図2 設備投資とキャッシュフローの動向 
図3 低下したキャッシュフローに対する弾性値
表1 設備投資の推計結果
図4 設備過剰感の推移 

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 植松 陽平 直通:03-3581-0806

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、必ずしも内閣府の見解を示すものではない。

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